第51話 破天荒な救世主
「優、どっちを選ぶの!?」
「そ、それは・・・」
ここで決めてしまえば今後の二人の運命も決まってしまう。
どうにか回避する方法を考えなければ・・・
そう思っていた時、一人の女性が突然現れた。
「は〜い、ストップ」
「あ、あなたはさっきの」
「も、もしかして奏蘭!?」
奏蘭・・・思い出した!燐の姉さんじゃないか!!
最近会ってなかったからすっかり忘れてた・・・
「久しぶりね〜、璃亜ちゃん」
「久しぶりだね〜!高校卒業以来?」
「そうね、もうそれくらいかしら」
「でも、どうしてここに?」
「たまたま招待状が来ていたから参加していたのよ。それよりも、何か面白そうな話が聞こえて来たのだけれど」
「え!?えーっとこれは、その」
「隠さなくても大丈夫よ、全部聞いてたから」
「やっぱり聞いてたかー。あなたに隠し事はやっぱり無理みたいね」
「とりあえず場所を移しましょうか」
里奈さんが司会を別の人に移し、里奈さんの家に戻った。
一旦部屋に戻り、着替えてから再び集まった。
「優くん、さっきぶりね。私のこと思い出してくれたかしら」
「あ、はい。名前を聞いた時に」
「そう、嬉しいわ。残りの人達は初めて会うのだけれど挨拶はまた後で。それで、優くんの答えはどうなの?」
「俺の、ですか?」
「えぇ、許嫁どう思う?」
「その、俺には少し荷が重いかなと」
「あの二人は好きじゃないの?」
「好きですけど、その恋愛についてはまだ考えてなくて」
「そう、ならいい案があるわ」
「いい案?」
「卒業するまで考える時間をあげればいいじゃない。急に聞かれるのは流石に困るものね」
卒業まで持ち越し、その期間でなら充分答えは出せるだろう。
「里奈、持ち越しても大丈夫?」
「まぁ、急に決めさせるのは私たちも悪かったかもね」
「じゃあ決まりね」
「優、この話は高校卒業の日まで持ち越し!だた、高校卒業の日にもう一回聞くからね」
「わ、わかったよ」
「でも、その間に彼女ができちゃったらどうするのかしら?」
「その場合は、なかったことになるよね?璃亜さん」
「そうね、優の気持ちが第一だし」
「ならもうこの話はおしまいね」
「それにしても奏蘭、あなたいつからいたの?」
「そうね、優くんとぶつかった後、そのまま着いて来てたわ」
「・・・あなた達姉妹はどうしてそんなに気配消すのがうまいのよ」
「なんでかしらね」
姉さんの言う通り、燐や奏蘭さんが後ろにいるときはあまり気づくことができない。
気づいたらそこにいる、が普通になっていたのもあったが。
「あ、あの優さん」
「ん、七海どうした?」
「こんなことに巻き込んでしまってすみません」
「いや、いいって」
「ですが、私は・・・この事を知っていて話さなかったんですよ?」
「・・・あのな、そう言うのは話せない事情みたいなものがあるんだろ?なら仕方ないさ」
「ゆ、優さん。ありがとうございます」
やはり七海はいい子だ。そして何かとほっとけない。
そんなことを考えながら七海の頭を撫でていた。
「あの、優さん。私のはあまり無理に考えなくていいからな」
「え、な、なんでですか?」
「その、だな。こう二人を見ていると和むと言うか場所を代わって欲しいって言うか」
「亜衣さんも撫でて貰えばいいじゃないですか」
「いや、年下にやられるのはちょっと」
「あれ、亜衣って早生まれだから優と同い年じゃない?」
「そうだよ、亜衣は二月生まれだからね」
二人でメンタル壊すのはやめてあげてください・・・
もう真っ赤になったままうつむいちゃってるじゃないですか。
「わ、私は大丈夫なので!」
「素直じゃないね〜」
「やっぱり姉妹ね」
「私も素直じゃないと言いたいのか!」
「あんたはそうでしょ。菜々にいつも言えないくせに」
「い、言えるぞ!」
「菜々、聞いたことは?」
「あまりないですね」
姉さん何やってんだよ。里奈さんまでうつむいちゃってるじゃん。
姉さんすごい笑ってるし。と言うか笑いすぎじゃないか!?
それにしても卒業までに選べ、か。
二人のうちどっちかを選ぶなんて簡単な話じゃないし。
卒業までに決められるのかどうか、不安だ。
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