第50話 破天荒な訪問 後編
何も分からず着いて来た俺と七海は姉さんと亜衣さんにパーティの説明をしてもらった。
なんでも、今日は発表があるらしくそれで人を呼んでいるらしい。
何についての発表かは教えてくれなかったが内容を知ってるのは里奈さん、菜々さんと姉さんそして亜衣さんの四人だけらしい。
一体何についての発表なのか少し考えていると、ウエイトレスが人数分のドリンクを持って来てくれた。
周りを見て見ると、周りの人たちはグラスを片手に談笑していた。なんか貴族の集まりみたいだな。
それにしてもあの白い布、一体何を隠しているんだ?至る所に被せられていて、そして微かに良い匂いが・・・そう考えていると、里奈さんと菜々さんがステージ上に現れ、里奈さんが壇上にあるマイクを手に取った。
「皆様、本日はパーティに集まって頂き、誠にありがとうございます。本日は私の父がこぞって集めた自慢のシェフたちの料理をみなさんに是非味わって頂きたいという父の思いからの開催です。皆様、どうぞ心ゆくまでご堪能ください。」
そう言った瞬間、先程まであった白い布が一気に降ろされ、それまでそこにいなかったはずのシェフの姿があった。
「それでは皆様、どうぞお好きなところへ。本日は楽しみましょう」
そう言い残し、里奈さんたちはステージの裏に戻って行った。
それにしても料理の種類がいっぱいあるな。
お寿司にステーキ、アイスにサラダ、デザートまで。
さっきも食べて来たけどお腹が空いて来たな。
ちらりと横を見ると既に姉さんがいなくなっていた。
辺りを見回すと、姉さんが色々な物を持って戻って来た。
「ね、姉さん。随分いっぱい持って来たな」
「だってあんなの見てたらお腹空くじゃない?だからみんなの分いっぱい持って来たの。さ、食べましょ」
「なんだ、そういう事か。ありがとな、姉さん」
「いいっていいって〜」
姉さんはローストビーフ三切れ、マグロ2貫に卵三貫、アイスとゼリー二皿など色々持って来ていた。
俺はマグロを、姉さんは卵とローストビーフを取り、七海達はデザートを取っていた。
美味い!さすがプロのシェフは違うな・・・。
こんなの店で食べたらいくらするんだろうか。
三人で食べ進めていると里奈さん達も戻って来た。
「みんな、お待たせ〜」
「里奈〜、遅いぞー」
「ごめんって、璃亜さん」
「みなさん、どうぞ新しい料理も持って来ました」
「菜々は気がきくね〜」
「でしょ!菜々ちゃんは私の自慢のお友達なんだから!」
しばらくみんなで料理を楽しみつつ話していると、姉さんが少し用があると言い、いなくなってしまった。
姉さんがいなくなっても話は続いた。
お互いのことや、生徒会のこと。そしてなぜか亜衣さんは七海の居候話しについては興味津々だった。
その時里奈さんと菜々さんはすごくニヤニヤしていた。
しばらくすると、みんなの飲み物がなくなったので新しいものをもらいに行こうとすると人とぶつかってしまった。
「す、すみません!大丈夫、ですか?」
「え、えぇ。大丈夫よ。そちらは?」
「あ、僕の方も大丈夫です!」
「そう、良かったわ。それじゃ、気をつけてね」
「は、はい」
・・・さっきの人、すごく綺麗だったな。長い黒髪で今にも吸い込まれそうな、そんな目をしていた。
でも、どこかで見覚えがあるような・・・気のせいか。
再び飲み物の補充をしに戻った。
「・・・随分大きくなったわね、優くん」
飲み物を受け取っているときに一瞬寒気に襲われたが今は目の前のことに集中しよう。
飲み物を持って戻ると、いつの間にか姉さんも戻って来ていた。
すると、里奈さんは急に頭を悩ませ始めた。そしてその数分後ハッとしたような顔をするとそのまま俺の元に近づいて来た。
「君、亜衣の許婚になる気はない?」
「は!?」
「ちょ、お姉ちゃん!?急に何言ってるの!?」
「ダメ、優は七海の許嫁になるの!」
「え、ちょ、え!?」
「り、璃亜さん!?」
「ちょっと璃亜さん!話が違うじゃんか」
「ごめんね、里奈。でもこっちも頼まれちゃってさ」
ち、ちょっと待て・・・俺に許嫁?
それも二人?あ、頭の整理が追いつかない・・・。
「優、どっちを選ぶの!?」
き、急に話題を振らないでくれよ。それに、せめてもう少し時間が欲しい・・・。
二人のうちどっちかを選ぶだなんて・・・
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