第46話 破天荒な恩返し
朝いつもより早く起きると風邪がほぼ治っていた。
昨日は姉さん達に色々やってもらったからな、今日はその恩を返そう。
そう思い隣のベットで寝ている姉さんを起こさないように部屋を出て、下に降りる。
こっそり確認したがまだ誰も起きていないようだ。
まずはキッチンに行き冷蔵庫の中身を一通り確認する。
そしてそこからいくつかの食材を取り出し、料理を始める。
サンドイッチ用にパンを切り、余ったパンの耳は別の皿に移した。
野菜を切ってチーズやハムなどと合わせてパンで挟む。
サンドイッチを作っている途中で母さんが起きて来た。
初めは俺が先に起きてることに驚いてはいたが、キッチンをちらりと見た後洗濯物を洗いに行った。
サンドイッチを作り終え、余った野菜でサラダを作る。
みんなの分を取り分け、コーヒーを沸かす。
コーヒーの匂いで目が覚めたのか七海と美玖も起きて来た。
七海に会ってすぐに体温を確認されたが平熱に戻っていた。
それを確認した七海は安心したのか椅子に座ってパンの耳を食べていた。
さて、コーヒーも沸いたことだし姉さんを起こしに行こうと思いリビングのドアを開けると、同じくドアを開けた姉さんとぶつかってしまった。
ま、まさかこうなるとは・・・
跳ね返された俺はその場で立ち上がった。
そしてそのまま何事もなかったかのようにキッチンに戻った。
姉さんもよくわからないままだったけど座っていた。
すでに取り分けていたサンドイッチとサラダを持って行ってコーヒを注いだ。
母さんには劣るがなかなか好評ではあった。
本来であれば今日は学校に行こうと思っていたのだが念のためもう一日だけ休むことになった。
七海と美玖を見送り、キッチンに戻って食器を洗う。
洗い終わった後は自室へ戻り、勉強を始めた。
二日も休んでいるので何とか遅れを取り戻すため、勉強に励んだ。
分からないところは後で玲狐にでも聞いておくか。
少し集中して取り組んでいると昼過ぎになっていた。
昼には姉さんがチャーハンを作っていた。
それを食べ、その後は少し読書をしていた。
姉さんが洗い物を終えると、そのままこっちに来た。
「優、今ちょっといい?」
「いいけど、何?」
「ここじゃなんだから、部屋に行こっか」
そのまま姉さんに言われるがまま部屋へと向かった。
部屋に入り、小さい机を置いてそこに対面で座った。
姉さんの目がいつになく真剣だった。
これはきっと何か真面目な話だと思い、姿勢を正した。
「実はね・・・ケーキ、買い忘れちゃって」
「なんだ、そんなことか」
「怒らないの?」
「いや、正直昨日買ってこられても俺が食べれなかったからな」
「そっか、ならいいんだけど」
「話ってそれだけなのか?」
「ううん、まだあるの。これが本題、今から言うことは真実だからね」
「わ、わかった」
「あのね、実は優にはね・・・」
「ただいまー!!」
「玲狐、あなたはこの家の人じゃないでしょ」
「優く〜ん、いないの〜?」
「優さん、ただいま帰りましたよ」
「・・・みんな帰って来ちゃったな」
「じゃあこの話はまた後でってことで!」
「え、ちょ姉さん!?行ってしまった・・・」
「みんな、おかえり!!優は部屋にいるよ〜」
「それじゃあいざ優くんの部屋へ!!」
「なんであなたが指揮を取ってるのよ」
「優くんのお部屋・・・初めてだなぁ」
「優さん、すぐ行きますよ・・・!」
この後一人一人からのお見舞いの品を受け取った。
それにしても姉さんは一体何を言おうとしていたんだ・・・
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