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第45話 破天荒な風邪

文化祭が終わり、次の日の順位発表の時、俺は家で寝込んでいた。

なぜこうなったかと言えばそれは数時間前に遡る。



朝、起きた時に喉が痛かった。とりあえずのど飴を探しに下に降りようとした時、バランスを崩して倒れてしまった。

起きようとしてもあまり力が入らずにいた。その時、階段から七海が上がって来た。

さっき倒れた際に起きた音が何なのか確認しに来たのだろう。

そして倒れたままの俺を見つけてくれて一旦下に戻り、姉さんを連れて来てくれた。


「ち、ちょっと優!?どうしたの!?」

「いや、のど飴取りに行こうとしたら倒れちまって」

「あんた熱あるんじゃない?顔も赤いわよ」

「い、いやそんなことは」

「で、でも私が見た時には倒れてました・・・」

「そ、そんなことはないぞ!ほら!立てるって」

「ふらふらじゃない!とりあえずベットに運ぶから。七海は母さんに伝えておいて」

「はい」

「ちょ、姉さんやめろって!」

「はいはい、病人は黙っててくださいね〜」


姉さんは俺を軽々持ち上げ、そのままベットに戻した。

その後七海が体温計を持って入って来た。

姉さんは体温計を受け取り、俺の脇に挟んだ。

音が鳴り、取り出すと38.0℃を示していた。

体温を測り終えたところで母さんも入って来た。

熱があることを話すとポケットから携帯を取り出し、そのまま学校へ電話した。


「七海、あなたも今日はお休みよ」

「え、ど、どうしてですか?」

「優の看病を頼みたいのよ。私今日ちょっと用事があってね」

「え、私やるけど。というかやりたいんだけど!」

「璃亜、あなた今日仕事でしよ。ちゃんと行きなさい」

「はぁい・・・」

「そんなわけだからよろしくね。七海」

「は、はい」


母さんは姉さんを連れて部屋を出て行った。

部屋を出た後も姉さんはずっと騒いでいたが俺の心配をしてくれていたので今回ばかりは少し感謝していた。

俺の状態を瞬時に見極め、運んでくれたことは嬉しかった。まぁ叫んでたのはちょっと子供ぽかったけど。


「あ、あの優さん」

「ん、なんだ?」

「食欲とかってありますか?」

「うーん、今はあんま無いかな」

「わかりました。では私は下にいますので何かあったら携帯で連絡ください」

「わかった」

「それでは、また後で」


なんというか手馴れてる感があったな。でも今は考えないでとりあえず寝よう。

そして起きて今に至る。

今は・・・もう昼過ぎか。

その時、部屋のドアがノックされた。

どうぞ、と返すとおかゆを持った七海が入って来た。


「あの、気分はどうですか?」

「朝より少しは良くなったかな」

「おかゆ持って来ましたけど食べます?」

「おう、ありがとう。いただくよ」

「い、いえ。そ、それでは優さん。はい。あ、あーん」

「あ、あーん。ん、美味いなこれ!」

「そ、そうですか。嬉しいです。も、もっとどうぞ」

「お、おう。で、でも自分で食えるから別に」

「あ、あーん」

「・・・あーん」


結局全部食べさせてもらってしまった・・・。

なんか帰る時すっごい笑顔だったけど。

少しすると七海が薬と水を持って来たので、薬と水を受け取り、飲んだ。

コップを返し、再び眠りについた。

起きるとベットの横で七海が寝ていた。はじめは少し驚いたが頭に貼っていた冷却シートが新しいものに張り替えられていたり空気清浄機が設置されていたりと色々やっていてくれたらしい。

そのことが嬉しくてつい七海の頭を撫でてしまった。

すると七海は幸せそうな顔になったのでしばらく撫でていた。

数時間後、いつの間にか寝ていて、起きた時には横にいた七海はもういなくなっていた。

そういえば文化祭の結果がどうなったのかが気になったため、今まで放置していた携帯を確認する。すると、大量のメールが来ていた。

風邪の心配のメールがほとんどだったがクレアから文化祭の結果も来ていた。

それを読むと、うちのクラスは2位だったみたいだ。

1位は燐のクラスの2組で生徒会の加算ポイントが多く、それで逆転したらしい。

そのメールを見て少し落ち込んでいた時、猛ダッシュしている音が聞こえた。

そしてドアが勢いよく開けられた。その足音の主は姉さんだった。

そしてそのまま抱き締められた。


「優!もう大丈夫!?」

「う、うん。もう大丈夫だから。てか苦しい」

「良くなったのね!!七海に感謝しないと!!」

「ね、姉さん苦し・・・」

「あれ、優?優!?大丈夫!?」

「や、やっと呼吸が」

「うるさいですよ、璃亜さん」

「あ、七海ちゃん」

「早く下に降りて来てください」

「はーい」

「優さん、もう大丈夫ですか?」

「あぁ、だいぶ良くなったよ」

「そうですか」

「ありがとうな、色々」

「いえ、これくらい大丈夫ですよ。お夕飯どうします?」

「あー、せっかくだしいただこうかな」

「はい!」


そして夕飯の時に家族全員の前でまた食べさせられるとは思わなかった。

母さんは微笑ましいような表情で見てるが姉さん達からくる眼差しが冷たいんですが・・・。

途中から姉さんと美玖も参加しようとしていたが母さんに止められていた。

食べさせてくれるのは嬉しいんだが、流石に恥ずかしい。

だが、七海の昼頃の照れは完全に消えているようだ・・・。

食べさせてくれるのは嬉しいが頼むから人がいるところだけは止めてくれ、と切実に思っていた。

お読みいただきありがとうございました。ご意見ご感想などもお待ちしております。

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