第43話 破天荒な文化祭 前編
朝、クラスのみんなで最後の準備を済ませていた頃、アナウンスが入った。
『これより開会式を始めます。生徒の皆さんは体育館へ集まってください』
アナウンスが終わると同時にすぐさま廊下へ並び、そのまま体育館へと向かった。
体育館に入り、座る。そして全員入ったことを確認すると生徒会長がステージに上がった。
「こほん。えー、いよいよ文化祭が始まります。みなさん悔いのないように頑張ってください!」
みんなから拍手と歓声が飛び交った。会長さんは横をチラっと見ていて、そこに何かあるのかと思ったら小さくグットマークを出す副会長さんの姿があった。なんというか妹を見守る姉みたいだな・・・。あ、気づかれたかも。
何事もなかったかのように目をそらし、もう一度見てみるとまだこちらを見つめていた。
あー、完全にバレたかもと思いつつも、解散になったのでそのまま撤退することにした。
すいません、悪気はなかったんです・・・。
教室に戻り、テーブルの配置などを終え、看板を立てていよいよ完成だ!
『ただいまより文化祭1日目を開催します』
そして開催のアナウンスが入った。
今回俺は店の当番なのでそのままここで待機、主に飲み物や食べ物を盛り付けする裏方作業だ。
ウェイトレスとしてはクレアと委員長他二名だ。
「「いらっしゃいませ〜」」
おっと、早速来たみたいだな。
クレアと委員長が早速注文を取りに行ったな。
「優くん、コーヒーとショートケーキを二つずつね」
「あ、こっちは紅茶とクッキーを一つずつで」
「おう!」
俺にだけに言うのやめてくれませんかねぇ・・・後ろからの冷たい目が痛いんですよ。
まぁ、そんなことを気にするよりもやることやらないとな。
コーヒーと紅茶をコップに注ぎ、ショートケーキ二つとコーヒー二つをお盆に乗せもう片方に紅茶とクッキーを置く。
そして素早く渡す。二人に渡してる間にもどんどん注文が入る。これは忙しくなりそうだな。
作業にも慣れて来て少し余裕ができた頃に教室の外を見て見るとすでに長蛇の列ができていた。
なるほど、さっきからあまり来ないのはもう席が埋まってるからか。
こっちは少し余裕があるがクレアたちは忙しそうだな・・・。
おっと、注文入ったな。もう少しで交代時間だしそれまで頑張りますか!
昼を回って午後になり、交代の時間になった。
俺とクレアは交代するが委員長は午後もやるらしい。すごいな、委員長は。
午後は委員長の他に玲狐と七海も入る。うん、忙しくなりそうだな。
今まで来ていた店用の服から制服に着替え、クレアと合流し、お昼を食べに行くことにした。
そういえば燐のクラスも飲食店だったな。行ってみるか。
燐のクラスである2組へ向かうと姉さんが並んでいた。
「あれ、姉さん?」
「おぉ!愛しの優!!お仕事はもういいの?」
「え、あぁ今日はもう終わったからさ」
「そう、じゃあ一緒に回りましょう」
「いや、すでに先約が」
「え?」
「あ、あの。ど、どうも」
「あっれ、クレアちゃんじゃない!先約ってあなたのことね」
「は、はい」
「うーん、それじゃあ今回はいいけど明日は一緒に回ってよ!」
「わかってるよ」
「そういえば二人ともこれからご飯?奢るよ?」
「え、いいんですか?」
「うん、いいよー」
「早く行こうか、姉さん」
「おっけー」
三人で入るとそこではアメリカンドックやフランクフルトなどが置かれていた。
値段も200円から300円と安かった。
教室を見回したが燐はいなかった。休憩中だろうかと思っていると、姉さんがお茶とアメリカンドックを三本買って来てそのまま机の上に置いた。
そしてしばらく文化祭について話していた。
その時、新しくお客さんが入って来た。
会長さんと副会長さん、そこに知らない人が一人いた。
生徒会の審査もポイント対象だとついさっき告げられたので気にしてなかったが副会長さんの持ってる袋の量を見る限り本当に全部買ってるんだなと思った。
すると、姉さんが急に立ち上がった。
「あれ、里奈と菜々じゃん」
「おぉ!璃亜!!」
「どうも」
「会うの久しぶりだねぇ」
・・・え!?知り合いだったのか!?
「ち、ちょっと姉さん知り合いだったの!?」
「知り合いも何もあの服貸してくれたの里奈だよ」
「璃亜に弟がいるとは聞いていたが君だったか!!」
そして、会長たちはなぜか俺たちの座ってる席にきた。
そして姉さんと世間話を始めた。
それにしても・・・。
副会長さんの隣に座ってる人誰なんだろうか。
「あれ、そういえば亜衣は?」
「そこにいるよ、おとなしくなってたから気づかなかった?」
「え、あんなに騒いでた亜衣がこんなにおとなしくなったの!?」
「そ、その言い方はやめてください」
「あ、優もしかして知らない?この子は井川 亜衣。里奈の妹だよ」
あぁ、妹か。確かに身長とかそっくりだけど・・・性格が真逆すぎる。
「今は何やってるの?」
「えっと、二年の副会長を」
「おー、いいねいいね!」
「今年には会長になってもらうけどね」
「そっかそっか!!」
うーん、話がとんとん拍子に進んで行くからわからない。あ、クレアも考えることを止めて来てる・・・。
それに気づいたのか姉さんが気を利かせてくれて、この店を出ることにした。
会長たちには悪いが、これが一番いい方法だった。
クレアの意識を戻し、他のクラスの出し物を見て回った。
少しクラスを覗いたが、現場の経験がいくらかある七海の活躍は凄かった。
素早く机の物を片付け、席に案内し四人分を一気に運んでいた。
これ、現場経験あってもできるのか?
そして5時過ぎ、再び校内アナウンスが入った。
『本日の各学年一位を発表します。一年一組、二年三組、三年五組。以上です。明日も頑張ってください。』
よし!なんとか一位を取れた!後は明日もこの調子でいければきっと!
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