第41話 破天荒な事前準備
次の日、午後のホームルームの時間、学校祭で行うものを決めることになった。
出た案はお化け屋敷、展示物、劇、喫茶店など色々出てきてその中からいくつかを厳選し、多数決をとった。
多数決の結果は喫茶店の票数が圧倒的に多く、そのまま決定となった。
次にその喫茶店で何をするか、何を出すのかを決めることに。
最初にメイド喫茶が提案され、クラスのみんなが賛同しており、クレアもそれに賛成していた。だが委員長がそれを拒否した。
理由として衣装にお金がかかるかららしい。予算の関係上難しいそうだ。クラスのムードが下がって行く中、ふと気がついた。
姉さんに頼めば衣装も借りられるかもしれない、と。
というか確実に持ってる人知り合いにいそうだしな、でも見返りがなぁ・・・。
でも今回はクラスのためということにしよう。そうしよう。
「ちょっといいか?」
「はい!なんですか?優くん」
「メイド喫茶なんだが、衣装が借りられるとしたらどうだ?」
「え?できるんですか?」
「まぁ、頼めばやってくれるとは思うが」
「ならやってもいいよね!ね、結衣!」
「え、ま、まぁ衣装が用意できるなら別に・・・」
「それじゃあメイド喫茶に決定!!!」
その時クラスから歓喜の声が響いた。
ある人は涙を流し、またある人は友達と肩を組んだりと。
どこまで嬉しいんだ、でも楽しめそうだな。
その後にはメニュー決め、テーブルなどの配置決めなどが各グループで行われた。
その間に姉さんにメールを送っておき、玲狐達とメニュー決めに入る。
まずはドリンクメニューとしてコーヒー。コーヒーも色々な種類があるが今回はスーパーなどで売っているものを採用。
そのほかにもジュースと紅茶も入れることにした。
次に食べ物だが、ケーキとパンそれとクッキーに決定。
なるべくドリンクとの相性を崩さないようなものを選択した。
メニューが決まると同時に姉さんからのメールも届いた。
確認するとメイド服の貸し出しは可能だった。
そのことを伝え、一緒に送られてきたデザインも見せた。
社会の授業でも見たことのあるような黒と白のものだった。
衣装も無事決まり、終了のチャイムがなった。
委員長とクレアは帰りの準備を済ませ、3-3へと向かっていった。
帰り際に携帯を見ると燐からメールが来ていて、内容をみると先に帰っていてもいいと書かれていた。
どうやら燐も実行委員らしいな、陰ながら応援してやるか。
家に帰ると同時に姉さんに腕を掴まれて凄まじい速さで部屋に引き摺り込まれた。
その時一緒にいた七海はその場で固まっていた。
何か恐ろしいものを見たかのように動けなかった。
部屋に入ると同時にすぐに鍵をかけていた。
姉さんは息を整えていたが、俺はそんな場合じゃなかった。
さっきまでの一瞬の出来事をまだ脳が処理しきれていない。
姉さんの息が整い終わると同時にいま置かれている状況を認識した。
逃げようとしても鍵は開いておらず、既に前は姉さんで塞がれていた。
「ねぇ、私今日優のために頑張ったよね?」
「え、あ、あぁそう、だね。助かったよ」
「それなら良かった。それでなんだけど」
「な、何?」
「もうすぐ学園祭やるらしいじゃん?」
「う、うん」
「私も行きたいなーって」
「え?来れば?」
「あれ、いいの?てっきり拒否られるかと」
「いや、それくらいならいいって。俺何されんだろって怖かったんだぜ」
「失礼だねー、私だって自重はするよ」
「しない時がほとんどだろ」
「記憶にございません」
「はぁ、でも衣装ありがとうな。よく知り合いにいたな」
「まぁ、私の後輩にあたる子だからね。その子の家お金持ちだし色々頼まれること多くて」
「毎回思うけど姉さんの仕事マジでなんなの?」
「秘密かな」
「そうかよ」
その後その人について詳しく聞くと俺の通ってる学校に今在籍しているらしい。
でもそんなお金持ちオーラ纏ってる人なんていなかったけどな・・・。
いずれわかるって言われてもなぁ、そういうものほど気になるもんな。
「ところで、優もあの服着るの?」
「着ないわ!」
本当にどんな人なんだろうな。
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