第32話 破天荒な家族旅行その1
旅行当日、俺は朝早くに起床し最終確認をする。
忘れ物がないかと念入りにチェックした後、素早く着替え荷物を持ちリビングへ向かう。
リビングでは美玖と母さんが待っていた。
既に二人とも準備はできており、いつでも出発する用意ができていた。
「それじゃあ、優も来たことだし行きましょうか!」
「あれ、朝飯は?」
「新幹線に乗るからそこで適当に買って食べましょう」
「それじゃあ、レッツゴー!」
美玖の掛け声に続くように、俺たちは家を出た。
駅までは少し距離があるため近くでバスに乗り駅へと向かう。
数分バスに揺られ、駅に到着。
そして駅でそれぞれお弁当を買い、乗車する。
車内で弁当を食べてる間に姉さんに連絡をする。
この役目が何故俺に回って来たかというと返信が早いから、らしい。
確かに姉さんは返信するのが早いがみんなに対してもそうなんじゃないかと思って聞いたが、美玖が少し顔をそらしていたのであぁ、そういうことか。と、理解できてしまった。
とりあえず電車で向かっているとだけ送っておけばいいかと思い、送信した。
すると僅か10秒ほどで返信が返って来た。
返信にはこっちも今から駅に行くということが書かれていたのでそれを伝え、携帯をしまった。
そして今日は朝が早かったので着くまで寝ようと思い、しばらく眠った。
そして2時間後、体を揺すられたのでもう着いたのかと思い、起床する。
すると外には豊かな自然が広がっていた。
その場所には他にもいくつもの花が咲いていた。
その景色を眺めている間に、目的地に着いたらしいので駅のホームに降りる。
するとそこには座りながらおにぎりを食べている姉さんがいた。
「お、やっと来た。」
「姉さん、そこで何を・・・」
「何っておにぎり食べてただけだけど」
「・・・あんた、もしかして優が連絡よこすまで寝てたんじゃないでしょうね」
「い、いやー、それは、あのー」
「はっきり言いなさい!」
「ご、ごめんなさい!寝てました!」
「全く。だいたいあなたと優は寝過ぎなのよ!」
「うぅ、ごめんなさい」
「え、なんで俺も怒られてるの!?」
「お兄ちゃんももう少し早く起きるようにしないとダメだよ」
「そんな長い時間寝てないと思うんだけど・・・」
「お兄ちゃんお休みの日の午前中ずっと寝てるじゃん!」
「休みの日くらいいいだろ」
「ダメです!休みの日もちゃんと起きてください!」
「で、でも母さん。俺最近はちゃんと起きてるだろ?」
「確かにそうね」
「優の裏切り者・・・」
「す、すまん。姉さん」
「と、とりあえず早く旅館に行こうよ。待たせちゃダメじゃない?」
「美玖ちゃん・・・ほんといい子ね。お姉ちゃん嬉しい」
「あら、旅館に行ったら続きはちゃんとするわよ?さ、早く行きましょう」
旅館への道案内は璃亜がしていたが、その間顔色がすごく悪かったのは言うまでもない。
旅館までは駅から徒歩圏内で行ける程の距離だった。
そして数分歩くと大きい建物が見えて来た。その大きさはなかなかのもので迫力があった。
「ここが今日から泊まる旅館鎌切、だよ」
「うわー、凄くおっきいねー」
「でしょー、たくさんのお客さんを入れられるように頑張ったんだってさ」
「それじゃ早速行きましょう」
旅館の中に入る。するとそこには大勢の人が並んでいた。
「「「ようこそ、榊原様」」」
そして中から二人の人が出て来た。
「私が女将です。そして隣にいるのがこの旅館の経営者であり、私の旦那です」
「よろしくお願いします」
「この人が旅館建てるって言ってたから私も投資したんだー」
「おかげで立派な旅館が建てられました」
「いいって、いいって」
「あ、もう一人紹介しないといけない子がいましたね。七海、こっちへいらっしゃい」
「はい」
そうして出て来たのは綺麗な着物を着た、長い黒髪の女の子だった。
だが、よく見るとその子の顔は赤く染まっていた。
「か、かかか鎌切 七海です。よ、よよよよろしくお願いします!」
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