第31話 破天荒な旅行計画
ある日、優が珍しく早起きした時のこと。
母親に新聞を取ってきて、と頼まれ外にある郵便ポストを開ける。すると中には新聞の他に一通の手紙が届いていた。
差出人は姉さんだった。封を開けず、そのまま持っていき新聞と一緒に机の上に置く。
そして手紙を手に取り、封を開ける。中には手紙とチケットが三枚入っていた。
なんのチケットかの説明も書いてあるだろうと思い、手紙を開く。
『みんな、元気にしてる?璃亜だよ。急に手紙送っちゃってごめんねー。実は知り合いが旅館をオープンしたらしくてね、それでご招待されちゃったんだー。でも、私一人だけだと寂しいから家族もいいですか?って聞いたらもちろんいいですよ。って言われちゃったからさ。母さんと美玖と優の分のチケットは送っておいたからさ、届いたら連絡ください。』
手紙を読み終わり、一息ついた後に母さんに手紙を渡す。そして手紙を見た母さんは料理していた手を止め、エプロンのポケットから携帯を取り出し、電話をかける。
『うぅーん・・・何?』
「何じゃないわよ!!このチケット!」
『あ、届いた?些細なプレゼントだけど』
「えぇ、これはありがたいわ。だけどね」
『何かあったの?』
「宿泊日が明後日からってどうゆうことよ!」
『え!?そ、そんなはずは・・・あ』
「もう、どうするのよ。私たち明日には出ないと間に合わないじゃない」
『ほんっとにごめん!!この埋め合わせは旅館でするから!』
「全く、でも送ってきてくれてありがとう。」
『いいのよ、母さんにはいつも迷惑かけてたし・・・』
「それもそうね」
『それじゃあ私仕事の準備するから切るね』
「あらそうなの?お仕事頑張ってね」
『はーい』
電話を終え、キッチンへ戻ろうとすると既にテーブルの上には朝食が並んでいた。
そしてキッチンでは優がコーヒーを入れている最中だった。
「あ、電話終わった?朝食作っておいたから」
「ごめんね、途中でほったらかして」
「別にいいって、それにほぼ完成状態だったからそんなにやってないし」
朝食の匂いにつられ、美玖も起きてきた。
「お、やっと起きたか」
「美玖ちゃん、おはよう」
「お兄ちゃん、お母さん。おはよう」
「今日は優も手伝ってくれたのよ」
「俺は何もしてないって」
「おいしくいただきます!!」
「おい、美玖。お前も悪ノリはやめてくれ」
「本心だよ?」
「こいつはそうだった・・・」
「ところで、明後日なんだどね璃亜のはからいで旅館に行くことになりましたー」
「へー旅館かー。・・・って明後日!?」
「そしてちょっと遠いから明日出ます」
「明日!?」
「そんなわけだから準備期間今日しかないのよ」
「私、今日部活あるんだけど・・・」
「心配しないで、私がまとめて買ってくるから!」
「お母さんがそう言うなら」
「それじゃあ優、お買い物手伝ってね」
「お、俺今日は友達と予定が・・・」
「あら、そうなの?残念だわー」
「いいえ、今日は優さんに予定はありませんよ」
「燐!?いつからそこに!?」
「秘密です」
「あら、優。私に嘘ついたのね」
「い、いやこれは違くて・・・」
「今なら許してあげますよ?」
「嘘ですごめんなさい」
「わかればよろしい」
「それでは私はこれで」
燐がそう言い残し帰っていった。
それにしてもあいつどこから入ってきたんだ?
鍵はかかっているはずだが・・・
美玖が部活に出た後キャリーバックに荷物を詰める。
そしてその間に足りないものが出てきたらメモをしておく。
そのメモをもとに買い物を行う。
買い物を終え帰宅すると家の中では美玖がソファーの上に寝っ転がっていた。
どうやら寝てるらしい、だがソファーの上に寝られるのは困るので揺さぶって起こした。
美玖を起こした後、買ってきたものをバックに詰め準備を終える。
そしてリビングで乗る電車を確認し、チケットを三枚まとめて袋にしまい母さんに預ける。
最終確認を終え、部屋の本棚から本を取り出し、読み進める。
読んでいくうちに夜も更け、布団に入る。
そして旅館のことを楽しみにしつつ眠りについた。
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