第30話 お菓子作りでの破天荒
とある休日の日、家に玲狐を含めクレア、美玖、燐の4人が集まっていた。
テーブルの右側に玲狐とクレア、左側には燐と美玖が座り正面にはオレンジジュースが置かれていた。
「それではただいまからお菓子作りを開始しますが、お菓子を作ったことある人は挙手を」
そう玲狐が言うとクレアと燐、そして美玖が手を挙げた。
「・・・え、私だけ!?作ったことないの!?」
「意外だね、玲狐ちゃんは作ったことありそうな感じしたんだけど」
「玲狐は料理とか家事が全くできないのよ」
「そうですね、玲狐さん料理下手っぴですもんね。あの時だって・・・」
「あー!!美玖ちゃん!それは言っちゃダメ!!」
「そうね、あれは確かに酷かったわ」
「燐ちゃんまで!!」
「い、一体何が・・・」
「クレアちゃんは知らなくていいから!それはおいといて、お菓子の作り方教えてください!!」
「まぁ、それくらいなら」
「私もいいけど」
「燐さんがそう言うなら」
「ありがとうございます!!」
「それで、何を作るのかしら?」
「とりあえずケーキでも・・・」
「ケーキか〜、ケーキは昨日お兄ちゃんと食べたな〜」
「美玖ちゃんにはお兄さんがいるんだね」
「うん、とっても優しくってね私にメロメロなの」
「へ、へぇ。玲狐ちゃんも知ってるんだよね?お兄さんのこと」
「うん。私大好きなんだ〜いっつも学校に一緒に行ってるし、それでいつものお礼も兼ねてお菓子をプレゼントしてあげようかなって・・・」
「・・・ん?美玖ちゃんのお兄さんの名前って優っていう人?」
「あれ、お兄ちゃんの知り合い?」
「えええええ!?」
「あぁ、紹介が遅れたね。こちら優くんの妹の美玖ちゃん」
「あなたにはあんまり呼んで欲しくないんですけど・・・」
「このようにあまり懐いてはくれません・・・」
「優くんに妹がいるとは聞いてたけどまさかすでに妹にメロメロだったなんて!」
「あぁ、それは美玖ちゃんの妄想だから心配しなくていいよ」
「そういうこと言うから美玖ちゃんに嫌われるのよ」
「そ、それはおいといて。優くんが昨日ケーキ食べてるなら、クッキーにしよう!」
「材料はあるの?」
「お母さんがよくお菓子作るから材料ならいっぱいあるよ!」
「お母さんが料理好きなのに玲狐はどうして・・・」
「燐ちゃん!そんなこと言わないで!」
「と、とりあえず早く作りましよう!」
「そ、そうだね!」
4人はエプロンに着替え早速キッチンへと向かった。
棚の中からクッキー用の型抜きを取り出しバター、そして卵、薄力粉など材料を一通り集めてキッチンに並べる。
そしていよいよ作業に取り掛かる。
まず、燐が手慣れた手つきでクッキーの生地を作っていく。
そして出来た生地を冷蔵庫に入れしばらく休ませる。
その待ち時間の間にクレアは美玖に休日の優の過ごし方や家に帰ってからの様子を聞き出していた。
その間誇らしげに語っていたがそのことについてメモを取られていたことに気づいてはいなかった。
クッキーの生地がいい感じに仕上がってきたので型抜きに入る。
玲狐はハート型を取ろうとしたが既に燐が使っており、もう一つのハート型を使おうと思ったらそれは美玖が使っていた。
この2人は異様に物を取るのが早い時がある。それに関してはずっと思っていたが教えてくれなかったり、はぐらかされたりだったのであまり聞かないようにしていた。
残った星型で生地を切り抜きつつ、燐がハートの型をおいた瞬間に速攻で型をとり、元の位置に戻した。
型を取り終わりオーブンで焼いていく。
焼いているとクッキーのいい匂いが漂ってくる。
数分待ち、完成したものをオーブンから取り出す。
するとさっきよりもより強くクッキーの香ばしい匂いを感じた。
オーブンから取り出したクッキーを一枚手に取り、味見をする。
サクサクしていてほんのり甘くまさにお店に売っているようなクッキーだった。
だが、玲狐はここでとあることに気づいてしまった。
「私、型抜いただけじゃん!!!」
「・・・あ」
「今度ちゃんと教えてあげるから、そんなにうるさくしないでよ・・・」
「燐ちゃん・・・ありがとう!!」
その後はみんなで作ったクッキーを紅茶と一緒に食べながら雑談をしていた。
そして後日、玲狐は燐にスパルタで教わりながらもなんとかクッキーを完成させ、なんとか優に渡すことができた。
優も喜んでいたので今回のプレゼントは大成功だった。
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