第2話 破天荒な学校の始まり
渋々と家を出た俺は学校を目指す。この後に何も起こらないことを期待していたんだが・・・
「あ、おーい優くーん」
どうやらまだ終わらないらしいな。
「えへへ、おはよ、優くん」
そう俺に声をかけて来たのはクラスメイトである涼風 クレアだ。
「よう、元気そうだな」
「うん、だってこんな早くに君に会えたんだよ元気になるに決まってるじゃない」
「そうかそうか、俺はお前にあってからさらに元気がなくなったがな」
「優くんひどーい」
こんなやり取りを毎日やってたら頭がおかしくなりそうだ、やはりこの時間に行くのはよそう。そしてさっきから背後から嫌な雰囲気が漂ってるんですが
「おはようございます、クレアさん」
「あ、おはようございます玲狐さんいたんですね気づきませんでした」
ほらやっぱりこうなる。あぁ、玲狐の笑顔が怖い。とにかくこのままだと遅刻しそうになるのでどうにかしなければ、しかしどうすれば・・・その時燐の方をちらりと見つめ閃いた。燐が顔を赤くしているのは気にしないでおこう。俺は燐の腕を引っ張り
「燐、このままだと遅刻するから一緒に行くぞ」
「う、うん」
そう言いそのまま学校に向かって走り出した。そしてその場には玲狐とクレアの二人だけが取り残されていた。
「一時休戦ね」
「えぇ、まず燐ちゃんを捕まえないと」
二人も同じく学校に向かって走り出した。
優と燐は学校の少し手前で走るのをやめた、それと同時に玲狐とクレアも追いついて来た。
「おう、遅かったな」
「優くん、なんで燐ちゃんと走って行ったの?それも手を繋いで」
「あ、それクレアも聞きたいです!」
「そんなのそうでもしないとお前らが動きそうになかったからだよ」
「だからって手を繋ぐなんて」
「第一繋いでないし、引っ張って行っただけだ」
「それは、本当なの?」
「うん、残念ながら本当よ」
「全く、紛らわしいことはしないでよね」
「勝手に勘違いしたお前が悪い」
そんな感じの話をしているうちに俺たちの通っている私立月ノ宮高校に着いた。校門の前では風紀委員が制服のチェックを行っていた。チェックといってもスカート丈の長さやネクタイの締め方などの簡単なものだった。玲狐、燐、クレアと次々と通過していき俺の番になった。そしてチェックされると思ったら
「あら、優さん?」
げ、よりによって今日の担当が委員長だとはな。全く朝からほんとについてないな。こいつは如月 結衣。俺のクラスの委員長であり風紀委員でもある人物だ。うちの学校では風紀委員は他の委員会と掛け持ちすることができる。正義感が強く他人に任せられたことはしっかりこなす真面目な人だ。
「今私に対してげ、とか言いませんでした?」
「いやいや、そんなことは言ってませんよ、委員長殿」
「私のことは結衣と呼べと何回言ったらわかるんだ!」
「何回言われても委員長が定着しちゃってるんで今更変えるのもなーって思ってさ」
実際こうやっていじるのが楽しいからやめないだけなんだよなー
「いいから、一度でいいから名前で呼んでくれ!頼む!」
「はぁ、わかったよ結衣」
「な、な、な」
うわ、わっかりやすいほど顔赤くなってるよ。え、そんなに嬉しかったの?
「急に名前で呼ぶな!馬鹿者!」
「えーお前が呼べって言ったんじゃないか」
「知らん!私が知らんと言ったら知らん!」
「そうですね、言ってませんでしたね。というか早くチェックしろよ」
「む、そうだったな」
そうして俺は校則違反してないかチェックされた。途中名前で呼んでみたりして反応を楽しんでいた。
「よし、異常はなしだ。さぁさっさと教室に迎え」
「おう、先待ってるぜ。結衣」
「だから名前で呼ぶのはやめろー!」
委員長面白かったな。・・・さてこの後俺はどうすればいいんだろうか。あの三人がずっとみていたので何をされるかが想像ができないので俺は教室に向かって走り出した。よし、行けた。と思っていたがすぐに燐に捕まってしまった。
「さて」
「さっきのこと」
「説明してもらおうか優くん」
そうして俺はさっきの出来事について全て説明させられました。さっきまで争っていたのに団結力はすごいよね、ほんと。
とりあえず今あったことを全て話したところ少し納得いかなかったらしいが放課後に何か奢るからと言ったところ全て許された。単純すぎる。
まぁなんとか騒ぎにはならずに済んだので教室へと向かった。燐はクラスが別なのでここでお別れだ。
「うぅ、ここでお別れなのですね」
「アホか、たかがクラスが違うくらいで何言ってんだ」
「そうですよ、燐ちゃん」
「玲狐、あなたはクラスが同じだから言えるんでしょ。もしあなたが優さんとクラスが離れたとしたらどうするの?」
「それは・・・なるほど、燐ちゃんの言いたいことはわかったわ」
「そうゆうことです」
「とりあえず燐、早く行け遅れるぞ」
「ん、そうだね。それじゃまた後で」
「おう」
「優くん、私たちも行こ」
「そうだな」
「さっきから私空気なんですけどー?」
「玲狐、今日の宿題やったか?」
「もちろん!」
「じゃ、貸して写すから」
「ダメだよー、ちゃんと自分でやらなきゃ」
「もー、クレアのこと無視しないでってば!」
教室に行ったらやることを考えないとな、宿題写してそれから・・・
「優くん、ぶつかるよ!」
「は?おぉ、あぶねぇ」
危なかった、あやうく教室のドアにぶつかるところだった。
改めて教室のドアを開ける。こんな時間にも人結構いるんだな。いっつも遅刻ギリギリで登校してたから知らなかったな
「はい、優くん宿題。後で返してね」
「おう、サンキュー」
「玲狐ちゃんおはよー」
「あ、おはよー」
さてあっちはあっちでやってるみたいだし早いとこ写すか。と言ってもこれくらいならすぐ終わるな。
「優さん、宿題やってないのー?」
急に俺の前に来たから誰かと思えばお前かクレア。
「お前に構ってる暇はない」
「でもなんで写してるの?これくらいならパパッと終わりそうなのに」
「朝やろうと思っていたんだが、どこかの誰かさんが勝手に目覚ましかけてそれに起こされて挙げ句の果てに強制連行だ。できる時間なんてなかったんだよ」
「そんなに大変なら帰ってからすぐやればよかったのに」
「・・・できると思うか?」
「・・・あー、これは私が悪いね」
「まぁもう終わるから大丈夫だけどな。これ玲狐に渡しておいてくれ。」
「はいはい、頼まれますよっと」
そうしてクレアは玲狐の元へ向かった。全く朝から災難だったな。もう今日は早退しようかなそう思っていたら開始のベルが鳴った
「おーいお前ら、席につけ」
そういい、教卓についた人の名は朝倉 苺華俺のクラスの担任だ。
「今日も遅刻、欠席はゼロだな。素晴らしい。それではホームルームを始める。」
ホームルームといっても、やることは今日の予定確認くらいである。
「よし、これでホームルームは終わりだ。授業を始めるぞ」
ホームルームの後授業が始まる。これが地獄だ。午前中から勉強という悪魔に襲われる。せめて授業は午後からがいいです。
1時限目の授業の時クレアを見てみるとすでに寝ていた。おいおい幾ら何でも早すぎるだろう、せめて2時限目の後半からでないと。
そんな感じで真面目に受けたり寝ていたりとそんな感じで授業をこなす。
午前の授業が終われば待ち望んでいた昼ごはんである。俺は弁当箱を持ち即座に教室を出る、そうでないとあいつらがついてくるからな。
俺はいつも通りに屋上へ向かう。あそこは見晴らしもいい最高の場所だ。
が、どうやら今回もまた先客がいるようだ。気にせずドアを開けるとそこには燐が座って待っていた。
「優、待っていたわ」
「誰も待ってろとは言ってないだろ」
「一人で食べるより二人で食べた方美味しいわよ」
「それもそうだな」
「あら、今日はやけに素直ね」
「どうせ何言っても無駄だろうしな」
そのあとは燐と他愛もない世間話をし、お互いの教室へと戻った。
「優くんどこ行ってたの?せっかく一緒にお昼ご飯食べようと思ってたのに」
「飯食ってきてたんだよ場所なんてどこだっていいだろ」
「明日は一緒に食べるから!約束したからね!絶対だよ!」
「はいはいわかりましたよー」
明日は屋上で食べれないのか残念だ。
「災難ですねー優さん」
「そう思うんだったら止めてくれてもよかっただろ」
「いつも玲狐さん止めるの大変なんですからね」
「クレアさんには頭が上がりません」
「よろしい」
「おーす、お前ら席につけーホームルームやるぞ」
クレアとの会話が終わると同時に先生が教室に入ってきた
「来週はいよいよ体育祭だ、そのために実行委員を決めるぞ。やりたいやつは手を上げてくれー」
実行委員かあれはなかなかに大変な仕事だ。みんなのやる気を高めたり会場の準備をしたりとやることがたくさんある。
「なんだ、やりたいやつはいないのかそれなら誰か推薦する人はいるか」
そう先生が言ったときに委員長が手を上げていた
「お、結衣誰か推薦する人でもいるのか?」
「はい、私は優さんを実行委員に推薦します」
「え?」
今俺を推薦するって言ったか?まさか聞き間違いだよな
「そうかしかしなぜ優を推薦しようと思ったんだ?」
「優さんはみんなに慕われています。そして嫌と言いながらも陰ながら手伝いをしているのでまさに適任かと」
「ふむ、確かにそれは一理あるな。あいつは信頼できるそれは確かだ」
「そんなわけだ優、実行委員をやってみないか?」
聞き間違いじゃなかったよ。しかもこんなに期待されていると帰って断りづらい。
「わかりました、やりましょう」
「聞き分けが良くて助かるぞ、優」
もし返答を遅くしたら勝手に決めちゃうじゃないですか。
そう思いながら話の続きを聞いていた。
「そんなわけで実行委員が決まったわけだが・・・もう一人欲しいなもう一人やりたいやついるか」
そう聞いた瞬間すごい勢いで挙手したものが二人いた
「私やります!」
「私もです!」
「二人か・・・よし二人ともジャンケンをして勝った方が実行委員だ」
「燃えてきたわ」
「負けませんよ」
まさかジャンケンで決めることになるとは。この二人がやろうとするのはわかってたが
さて、どっちが勝つかな
「最初はグー」
「ジャンケン」
「「ポン!」」
玲狐がチョキ、クレアがパーということは
「実行委員は玲狐に決まりだ!」
「やったー!」
「わ、私が負けるなんて」
今回は玲狐が勝ったみたいだな。玲狐はジャンケン強いからな。
「体育祭の実行委員は優と玲狐の二人に決定だ!拍手!」
みんなから拍手が送られた。ここまできたら成功させるよう頑張らないとな
「実行委員会は今日の放課後に3-4で行われるからな、忘れずに出席するように」
「「はい」」
「優くん一緒に頑張ろうね」
「おう」
こいつと二人でやるなんて・・・大丈夫なのか心配だ。
お読みいただきありがとうございました。