第23話 友達と行く動物園は破天荒
今日は普通の人にとってはなんら変わりもない平日だ。だが俺の通っている学校は先週の体育祭の振替休日のため休みだ。
だからいつもより遅く起きても怒られないのだ!下で何やらバタバタと騒がしいが気にしない。
そんな時部屋のドアが勝手に開けられた。そしてドアを開けた人物はそのままカーテンのところへと向かい、閉まり切っているカーテンを開けた。
部屋一面に光が差し込む。
「うわっ、眩しっ」
その光に耐えきれず布団の中へと避難する。
しかしその布団も思いっきり剥がされてしまった。
一体こんな酷い仕打ちをするのは誰だと思い顔を上げる。
するとそこには姉さんが立っていた。
「おはよう、優。もうお昼だよ」
「知ってるから・・・というかもう少し寝かせてくれよ。今日休みなんだから・・・」
「えー、それはダメかな」
「・・・なんでさ」
「だって、これから動物園に行くから」
「へぇ、いってらっしゃい」
「何言ってんの?優も行くんだよ」
「はぁ?1人で行けばいいじゃん」
「優の友達も誘っちゃった」
「は!?」
「えへっ」
「えへっ、じゃねぇよ!なんでみんなの連絡先知ってんだよ!」
「昨日玲狐ちゃんに頼んだらやってくれたよ」
「あいつ・・・」
「そんなわけだから早く準備してね」
「あ、おい!まだ行くって言ってない!」
と言ったものの璃亜はすでに部屋の外に出ていたので聞こえるはずもない。
仕方なく起床し、身支度を済ませリビングへと向かう。
リビングに着くと机の上には少々焦げたトーストが置かれていた。
「姉さん、この焦げたトーストは・・・?」
「それ?優の朝ごはんだってさ。お母さんが作ってた」
「母さんが!?」
『今日休みだからってダラダラしてる子にはお仕置きしてあげないと』
「って言って作ってたよ」
「ぐっ、ずっと寝てたのは否定しないけどだからってこれはないだろ・・・」
「まぁ焦げてても食べれるでしょ?」
「確かに一面真っ黒こげよりはいいけどさ」
「だから早く食べちゃって。もう時間ないのよ」
「わかったよ」
焦げたトーストを食べ終わり準備を済ませる。
すると自宅の呼び鈴が鳴った。宅配かと思いドアを開けると
「あ、優くん。来ちゃいました」
目の前にクレアがいた。そして開けたドアをそのまま何事もなかったかのように閉めた。
「ち、ちょっと優くん!?開けてよ!!」
「なんで家知ってんだよ!教えてねぇだろ!」
「そ、それは秘密のルートで・・・」
「本当にどうやった!?」
「と、とにかく開けてください!」
「ダメだ!まずは警察を呼んでからだ!」
「優くん!!」
「もう、何?優、うるさいよ」
「あ、ごめん。姉さん」
「あ!優くんのお姉様ですか!ここを開けてください!優くんが開けてくれなくて」
「オッケー、今開けるよ」
「ち、ちょっと姉さんいいのかよ」
「何が?」
「俺の友達上げてもだよ!姉さんそうゆうの嫌いじゃん」
「でも今日の集合場所ここだし、もう時期みんなくるよ」
「はぁああああ!?」
「驚いてる暇あるなら車に荷物積んでよ」
「すいません、手伝います」
「わかればよろしい」
その後に玲狐、燐が来たりレンと彩も来た。
そして少し遅れて委員長も到着した。
「よーしこれで全員だね。それじゃあ出発!!」
最終的に総勢8名の大移動となった。
移動には姉さんが仕事でよく使っている車で向かった。
仕事柄持ち歩くものが多いためものが収納できるよう大人数が座れるほどの広い車を買ったらしい。
車で移動し駅に向かう。家から歩くと時間がかかってしまうので、車での移動となった。
車に揺られ数分すると正面に駅が見えた。
駐車場に車を止め、電車に乗る。ここから二駅で到着する。
電車に乗り目的の駅に到着する。そしてみんなで動物園へと向かう。
今日は平日なのでそこまで混んでいなかった。
中に入り幾らかのグループに別れて行動した。
せっかくなのでレンと彩には普通にデートを楽しんでもらおうと思い、先に別れていた。
そして残った六人がまた別れて行動した。
優、燐、委員長の三人とクレア、玲狐、璃亜の三人に別れて行動した。
まずはじめに優達はヤギを見に行った。
ツノが立派なもの、あごひげが凛々しいもの、そして小さな子ヤギもいた。
三人でえさやりを体験した。
自分の渡したものを食べて行く可愛さに浮き足立っていた。
「あ、私の食べてくれた!可愛い〜」
「優さん、見てください!食べてます!可愛い!」
「あぁ、こりゃ確かに可愛いな」
そして次にはミーアキャットを見に行った。
小さいながらもきちっと整列している佇まいはとても深いものを感じた。
「すごいです、みんな同じように動きます」
「もはや一匹しか意識がないとしか思えなくなるわ」
「まぁわからなくもないな」
次には百獣の王であるライオンを見に行った。
ウトウトと眠そうにしている姿を見ると、ライオンの凶暴なイメージが崩れるほどに可愛かった。
「あくびしてる〜!かっわいい〜」
「もう少し動いてて欲しかった・・・」
「無茶言うな、あっちは動物で気まぐれなんだ。許してやれよ」
最後には猿山に向かった。
そこでもえさやり体験をした。
餌を猿に向かって投げるとその餌をしっかりとキャッチして口に運ぶ。
あるものは手を挙げ、こっちに投げるよう催促してくるものもいた。
「優さん、投げるのうまいですね」
「まぁ投げるだけだし普通じゃないか?」
「いえ、ふつうの人よりかはうまいと思います」
「それは同感」
「燐、お前まで・・・」
なんだかんだでいろいろなところを回って満喫し、集合場所に集まる。
レンと彩は楽しめたようでお互いニコニコしていた。手を繋ぎながら・・・
一方玲狐、クレア、璃亜のグループはなぜかボロボロになって帰って来た。
なんか喧嘩でもしたのかなと思いながらもその話題には触れずスルーした。めんどくさくなりそうだし。
駅に戻り電車を乗り継いで車を置いている駅まで戻り、みんなを車に乗せ1人ずつ送りながら自宅に帰宅する。
最後に燐と玲狐が残っていた。後ろを振り向くと寝息を立てて眠っていた。
「姉さん、今日はありがとうね」
「気にしないで。それにたまには大人らしいことしなきゃね」
「できる大人は違うね」
「珍しく優が褒めてくれてる!?」
「今回だけだからな」
「また行こうね、今度は家族みんなでさ」
「そうだな」
それから夕日が沈むまでしばらくの間車を走らせていた。
お読みいただきありがとうございました。ご意見ご感想などもお待ちしております。




