第22話 破天荒な花見
「お兄ちゃん、起きて」
美玖に布団をゆすられ、起床する。
いきなりなんなんだ、と思っていたら美玖は突然部屋を出てリビングまで降りていった。
「美玖ー、優もう起きた?」
「今起こしたー」
「なら早く準備するように言っといて」
「はーい」
何を言ってるかはわからなかったので部屋の布団を片付けている時に再び美玖が来た。
「これからお花見に行くから早く準備してね」
「花見?」
「うん、お姉ちゃんが場所取りに行ってるから私達も早く行かないと」
「そう言うことならわかったから。すぐ行くから先に行っててくれ。」
「わかった!」
美玖が部屋から出て行ったことを確認し、持っていくものを鞄に詰めリビングへと向かう。
机の上には風呂敷に包まれた弁当箱が置かれていた。
ただ、これ4人で食べるにしては多すぎないかと思ったがきっとなにかあるのだろうと思い触れないでおいた。
「優、やっと来たわね。そこにある弁当箱持ってちょうだい」
「おう、わかった」
「それじゃあ準備はいいわね?出発!!」
姉さんの待っている場所まではそれほど時間はかからない。
家の裏を少しまっすぐ行くと・・・花見会場に到着だ。
既に人が沢山いて賑わっている。この時期になると人も増え賑やかになる。
その分夜は少しうるさいってのが難点だけどな。
少し進んでいくと笑い声が聞こえてきた。どうやら酔っ払っているようだ。
一体どこの誰だろうと思い振り向くと、なんと笑い声のヌシは姉さんだった。
これが身内だとは信じられないと思い気づかないふりをして通り過ぎようとした時
「あ、お母さん。お姉ちゃんいた・・・よ」
美玖が気づいてしまった。酔っ払っている状態の姉さんに。
それに続き母さんも振り向く。そしてそのままずんずんと進んでいった。
「あ、お母さーん。げんきー?」
「げんきー?じゃないでしょ!!」
桜の目の前で母さんの雷が落ちた。
説教が終わりそうなタイミングに弁当箱を置こうとしたらシートが繋がっていることが分かった。
どこと繋がっているのか気になりシートの先を見る。するとそこには玲狐と玲狐の両親がいた。
「あれ、優くん!?」
「玲狐お前どうしてここに・・・?」
「そ、それは家族とお花見に来てて・・・優くんは?」
「俺もそうなんだけど」
「あー、だから璃亜さんが来てたんだね」
「あれ、知ってたのか?」
「うん、お隣だったし。あとお母さんがお酒分けてたよ」
「それが原因か!」
「な、なんのこと?」
「姉さんは酒好きだけどすぐ酔っ払うんだよ」
「えええ!?」
「まぁ今酔いから覚めたみたいだし大丈夫だと思うぞ」
「そっか、ならよかった」
「それじゃあ俺戻るわ」
「うん、またね」
「おう」
玲狐のところから離れ、自分の所へと戻るとまだ説教が続いていた。
その時隣で美玖が風呂敷を開けていた。するとその中からは六段弁当が出てきた。
「多っ!」
「ああ、それ玲狐ちゃんも呼んで食べて。隣にいるんでしょ?璃亜から聞いてたからちょっと多めに作ってたのよ」
「あぁ、そう言うことね。なら呼んどくよ」
「という話聞いてたので来ちゃいました!」
「あいっ変わらず早いな」
「だっておば様の料理美味しいから」
「あら嬉しいわ」
「それじゃあいただきます!」
3人でお弁当を食べていた後説教終わりの2人も合流し5人で食べた。
食後のお茶を飲みホッとしている時玲狐が突然立ち上がった。
「優くん、ちょっと来て」
「おう、いいけど」
玲狐に連れられ奥にある丘へと向かう。
そこには大きな桜の木が生えていた。
またそこから見る景色は街が一望することができ、とても綺麗だった。
「ここの景色私好きなんだー」
「確かにいい景色だな」
「悩み事とかあるとつい来ちゃうんだ」
「ここなら一人になれそうだからか」
「うん、それ以上にここが好きなんだ」
「そうか」
「だからさ、優くん」
「なんだ?」
「またここで桜見ようね」
「あぁ、いいぞ」
「約束だからね」
「あぁ、約束だ」
そして俺達は2人で丘からの景色を楽しんでいた
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