第167話 破天荒な卒業式
受験も無事合格し、俺達は遂に高校を卒業する。
「卒業生、入場」
盛大な拍手とともに、俺達は会場に入って行く。
歩いて行くたびに思い出す、出来事の数々を思い出しながら椅子に座る。
全員の入場が終わると、校歌斉唱が始まる。
これで校歌を歌うのも最後か・・・本当に色々とあったなぁ。
校歌を歌い終わると、卒業証書の授与に入った。
「稲荷 玲狐」
「はい!」
玲狐から順番に出席番号で呼ばれる。俺の番まであと4、5人くらいだな。
「榊原 優」
「はい!」
っと、そう思ってる間にも俺の番が来たな。
生徒会会長になってから何度も登ってる壇上のはずなのにいつも以上に緊張感があるな。
校長と目を合わせ、一礼する。その後、校長から渡された卒業証書を受け取る。
「三年間、お疲れ様」
「ありがとうございます」
受け取り終われば後は座って終わるのを待つだけ。
俺が歩いている間にもどんどん進み、椅子に座る頃には燐が証書を受け取っていた。
この高校生活、本当に色々あったな・・・
ストーカー、監禁、脅迫、誘拐・・・思い出したらキリがないくらいだな。
まぁでも、今となってはいい思い出になったかもしれないな。
生徒会にも入って学校全体の空気を良くしようと全力で頑張ったし、上手くやれて本当に良かった。
この3年の思い出に浸っていると、いつの間にか卒業証書の授与が終わり、終盤の挨拶に入っていた。
初めに挨拶をするのが校長先生、次に在校生代表の楓、そして卒業生代表の挨拶が俺か・・・
この時のために俺は必死に努力し、書いた文章を全て暗記してきた。
「今日は私達のためにお越しいただきありがとうございます。
本日で私達はこの高校を卒業します。この3年間、本当に色々とありました。
それでも、みんなで力を合わせて頑張り、考え、成長してきました。
先生方から教えてもらったこと、先輩方から受け継いだこと、これらを忘れずに、今後の人生を歩んで生きたいと思います」
読み終わり、礼をすると盛大な拍手が向けられた。
ふぅ、今年一番の大仕事が終わったな。これで心置きなく卒業できる。
「以上で卒業式を終了します。卒業生、退場」
卒業式が終わり、クラスで最後のホームルームが始まった。
「みんな、卒業おめでとう!これから大学に進学するもの、就職するものなど様々に分かれるだろう。だが、これだけは忘れるな。お前達はずっと私の生徒達だ!!何か困ったことがあればいつでも頼りなさい!!」
本当にこの担任は・・・でも、いい先生だった。
3年間ずっと担任が変わらなかったが、今はその方が良かったと感じている。
すごくお世話になったな。いつか何かで恩返しができればいいんだけど。
「さぁ、話終わりだ!みんな、本当に卒業おめでとう!!!」
最後のホームルームが終わると、泣きながら先生に挨拶しに行くもの、友達との別れを惜しむものなどさまざまだ。
だが、俺は外に呼び出されていた。二人の人物から。
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