第16話 破天荒な体育祭その5
「ね、姉さん。どうしてここに・・・出張に行ってたんじゃ・・・」
「そんなことどうでもいいの。その子達について聞かせてよ」
「こいつらは俺の友達だよ。てか玲狐のこと知ってるだろ」
「あぁ、そういえばいたね。で、その隣の子は?」
「こいつはクレアだ。高校で出来た新しい友達だ」
「ふーん・・・そ、ならいいわ」
「それより何の用できたんだよ」
「あ、そうだった。お昼ご飯食べるから迎えに行くように頼まれてたんだった」
「はぁ、なら早く行こうぜ。美玖達待たせたら悪いしな。それじゃ俺は行ってくるよ」
「う、うん」
「あ、待ってよー!お姉ちゃんも一緒に行くから!」
璃亜は先に向かった優に追いつこうと走っていった。
そして追いつくとそのまま優の隣に立ち母達がいる所へと戻っていった。
その後ろ姿を玲狐とクレアはただ見つめる事しか出来なかった。
その間クレアは少しではあるが肩が震えていた。
「・・・行きましたね」
「あーもう、何でこのタイミングであの人が帰って来てるのよ!!」
「優くんのお姉さんでしたっけ、お知り合いなんですか?」
「あの人とは小さい頃から付き合いがあってね。私たちが中学に上がった時から海外に居たはずなんだけど」
「それにしても怖い人でした」
「あぁ、あの人は怒らせちゃダメだよ。後が怖いから」
「やっぱりそうなんですね」
さっき自分が感じたもの思い出すだけでも少し怖いが先程のでもまだ優しいほうなのだろうと思っていた。
「あ、お兄ちゃん達戻ってきたよ!」
「2人とも、おかえりなさい。」
「やっと着いたね。」
「なぁ、母さんが言ってたサプライズって姉さんが来るってことだったのか?」
「えぇ、そうよ」
「なんでもっと早くお教えてくれなかったんだよ!」
「だって優は璃亜が来るってわかったら逃げるか休むでしょ?」
「た、確かにそうだけど・・・」
母さんの言う通りである。過去に何度かそれが理由で逃げたことがあった。
だがそれでも大抵姉さんに見つかりそのまま連行されていた。
「えぇ!?優またそんなこと考えてたの!?私がこんなにも愛してるのになんで?ねぇ、なんで?」
「そういうところだよ!怖いんだよ!」
「2人ともとりあえず落ち着きましょう。そのやりとりは帰ってから、今はお昼を食べましょう」
「賛成!」
「それもそうだな、午後の種目もあるんだし」
「え、お兄ちゃん午後にも出る種目あるの?」
「あぁ、クラス全員参加のリレーがな」
「そっか、頑張ってね、応援してるよ!」
「おう、ありがとうな」
昼食を食べ終わり足早にクラスの所へ戻ろうとした時、後ろから姉さんに声を掛けられた。
「今日帰ったら、あの子達について色々と聞かせてね。」
そう言い残し美玖達のところへと戻っていった。
クラスの所へ戻ると謎の美人女性についての話で持ちきりだったがそれが姉さんの話だとわかったためあまり関わらないようにしていた。
姉さんは確かに美人だ。学校でその話題が出れば確実に名が挙がるほどだが、誰とも付き合ったことは無いらしい。
「あ、優くんおかえりー。またあの人の話題で持ちきりだよ」
「いつもの事だろ、そろそろ慣れろって」
「優くんのお姉さんは彼氏さんとかいないんですか?」
「そうなんだよ、モテるのに彼氏がいるところ見たことないんだよな」
「色々とあるんだと思うよ」
「ん?玲狐何か知ってるのか?」
「べっつにー?」
「そういや次の競技ってなんなんだ?」
「次は借り物競走です。私と委員長が出るんですよ」
「ほほう、委員長がねぇ・・・」
「私も頑張りますから楽しみにしててくださいね!」
「おう、応援してるぜ!」
「ねぇ、2人とも私の事忘れてない?」
「玲狐、いたのか」
「さっきまで話してたよね!?」
「ははは、冗談だよ」
「そ、そうだよね」
『まもなく午後の部が始まります。競技に出場される方は準備を開始してください。』
午後の部の開始のアナウンスが流れてきた。
そしてそのアナウンスのあと後ろから委員長がこちらに向かってきた
「あの、ちょっといいかしら」
「ん、委員長どうしたんだ?」
「クレアさんを呼びに来たのよ。」
「あ、そうでしたね。では行きましょう」
「2人とも頑張ってなー、応援してるぜ」
2人を見送り元の場所に戻る。
そして俺の隣はクレアが競技に向かって行ったからスペースが開くはずなのだが何故か隣には玲狐が座っている。
しかも初めからその場所にいたかのように座っている。
「おい、お前がいたのもう少し後ろだろ」
「えー、お互い隣の人いないんだからいいじゃん」
「だからってなぁ・・・」
こうなるとこいつは動かないという事がわかってるので、仕方なくそこにいさせることにした。
『これより午後の部を開始します。始めは借り物競走です』
借り物競走に出る人達がコースに出てきた。
その15m先のテーブルには紙が置いてありそこに借りるものなどが書かれているらしい。
お、始めは委員長からスタートみたいだな。
焦って走って転ばないといいけどな・・・
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