第166話 破天荒な別れ・・・?
無事、受験に合格した3人は一旦家に帰り、夜に優の家で合格祝いのパーティを計画していた。
母さんからも許可が下り、料理も奮発すると言ってくれてたし、これは豪華なパーティになりそうだな。
優が準備を進めていると、七海がそばに近づいてきた。
「あ、あの少し時間いいですか?」
「あぁ、全然いいけど」
一つ返事で返すと、七海は玄関に向かって行ったので、そのまま俺もついていくことに。
家から出ると、雪が少しだけ降っている。
が、七海は特に気にしてないようなので七海の元まで歩み寄る。
七海の隣まで近づくと、七海は再び歩き始めた。
お互い特に何も会話をしないまま近くの神社まで歩いて来た。
すると、今まで前を向いていた七海が急にこちらを振り返った。
「あ、あの、合格、おめでとうございます」
「あぁ、ありがとう。お前はどうだったんだ?」
「はい、私も無事に合格しました。けど」
「何かあるのか?」
「実家に帰らないといけなくなってしまったので・・・」
そうか、そういえば七海は親元を離れてこっちまで来てたんだもんな。
いつの間にか七海が家にいることが当たり前になっていた。
でも、高校を卒業する今、地元に帰って親の仕事の手伝いもしなければならないのだろう。
そう思うと、俺の目に涙が浮かんできた。
もう一生会えないというわけではないのに、何故こんなにも悲しくなるのか・・・
でも、こういうのは笑顔で見送ってやらないといけないよな!
俺が泣いていちゃ七海も行きにくいだろうし。
俺はグッと涙を堪えて、七海の方を向いた。
「お前過ごした時間、とても楽しかったよ。本当の家族みたいでさ、こんな変なこと言いたくないんだけど、またいつでも来いよ。俺達はお前をいつでも家族として迎え入れるからさ」
そう言い切ると、俺は七海を抱きしめた。
七海は混乱しているようで顔を赤くしてオロオロしている。
離してやりたいのは山々なんだが、せめてもう少しだけこのまま・・・
そう思っていたが、七海が強引に引き剥がしてきた。
「あ、あの。優さんの気持ちはすごく嬉しいんですが・・・その」
「な、なんだ?」
「実家に帰るのは一週間だけで、またこっちに戻ってきます・・・」
「・・・は?」
「ほ、本当はそう言おうと思っていたんですけど、優さんが急に泣き始めて言えなくなっちゃって・・・」
「ていうことは、まさか今のは俺の」
「は、はやとちり、です」
「う、うわぁあああああ!!!!な、七海!!今のは忘れてくれ!!頼む!!」
「え、えっと・・・ど、どうしましょう。先程の優さんはとても情熱的で素敵でした・・・」
「うぉおお・・・やめてくれええええ」
「でも、私は優さんと家族なんですよね?」
「あ、あぁ。それに関しては本当だ。嘘も偽りもない」
「ふふっ、なら今はそれでもいいです。これからもよろしくお願いしますね、優さん」
お読みいただきありがとうございました。