第165話 破天荒な合格発表
今日は朝から気分が落ち着かず、部屋の中でウロウロしていた。
それも仕方ない、なんと言っても今日は受験の合格発表の日なのだから。
受験が終わってから自己採点をし、どのくらいの点数だったかの確認はできていた。
しかし、いざ当日となるとやはり緊張するものがある。
こうなったら、少しでも緊張をほぐすためにも玲狐や燐に電話をしてみよう。
早速俺は玲狐に電話をかけてみた。
「も、もももももしもし!!」
「お前・・・どうしたんだ!?」
「今日って合格発表の日じゃん?それで今から緊張してきちゃって・・・」
「お前もか、実は俺もそうだったんだが」
「え、優くんもそうだったの!?」
「お前程じゃないけどな」
「で、でも優くんと話してたら少しだけ楽になってきたよ!」
「そうか、それはよかった。俺も少しは楽になったな」
「私何もしてないけど、楽になったのならよかった!じゃあまた後でね」
・・・自分よりも取り乱している人を見ると平常心を保てるっていうのは本当かもな。
流石にあそこまでテンパっているのを見ると冷静になれるわ。
さて、燐にもかけてみるか。
「もしもし」
「あぁ、燐か」
「どうかしましたか?」
「いや、ちょっと合格発表の前で緊張してしまってな」
「あぁ、なるほど。それにしては随分と落ち着いた声ですが」
「あー・・・さっき玲狐に電話をかけてみたんだが予想以上に緊張しててな」
「そういうことですか、それなら落ち着いているのも納得です」
「そう言えばお前は緊張してないのか?」
「してないと言えば嘘になりますが、平然を保てるように訓練してますので」
「お前のそういうところやっぱり不思議だわ」
「そうですか?私的には普通通りなのですが」
「いや、まぁお前にとっては普通でも・・・まぁいいや、また後で会おうぜ」
「はい、また後で」
ふぅ、やっぱり燐はいつも通りで変に緊張してなかったな、さすがというかなんというか。
でもだいぶ気もまぎれたし、少しは落ち着いて結果を見れそうだ。
そして迎えた合格発表の時、優、玲狐、燐の3人が自分の番号を探していく。
自分の番号が見つかったものは喜びの声をあげていた。
3人も無事自分の番号を見つけ、お互いに合格を喜びあった。
これまでの勉強が報われた瞬間でもあり、しばらくの間興奮が抑えきれなかった。
が、一番激しく喜んでいたのは玲狐の方で、番号を見つけた瞬間から大声をあげ、俺たちの合格も知ると、さらに喜び出す。
嬉しくはあるけど、はしゃぎすぎでちょっと冷静になってきてしまった。
でも、これは喜ばずにはいられないよな。今日くらいは玲狐の好きにさせよう。
お読みいただきありがとうございました。




