第163話 破天荒な誘い話
「私達三人で同居しませんか?」
そう誘われたはいいが・・・いや、どう考えてもダメじゃないか!?
問題が起きてからじゃ困るし、そうだ!ここは母さんを言い訳に使って
「あ、優さんのお母様からは許可はもう取ってあります」
ですよねー、燐が関わってるんだからそりゃもう伝わってるだろうな。
そ、そうだなら玲狐達の親から何か言われる可能性も・・・
「もちろん私達の家族からも許可が降りてますよ」
はい、完全に退路が塞がれました!
もうさすがとしか言えないよ、俺が思いつく回避方法これ以上ないしな。
これは俺が腹を括るしかないけど、あいつら、特に玲狐はこれでもよかったのか?
「なぁ、よく玲狐から許可を取れたな」
「不思議ですか?」
「あぁ、まぁなんというかあいつの愛情って常軌を意してるというかなんというか・・・」
「ご心配なさらず、いざとなれば私が止めに行きます。そのために私も居るんですから」
「・・・ん?なら初めは玲狐は俺と二人で住もうとしてたってことか?」
「よくお分かりですね、でも二人だともしかしたら優さんを手にかけてしまうかもしれないということで」
「なるほど、つまりお前は俺の護衛みたいなものになるってことか」
「そういうことです」
「でも、最近はあのモードに入ってないしそんなに気にしなくても大丈夫そうだけどな」
「優さん、そういう油断が後の悲劇を呼ぶことになるんですよ?」
「そ、そうか。肝に銘じておく。・・・というか、まだ合格してるかどうかすらもわからないのに気が早すぎないか?」
「それに関しては私も思いました」
「玲狐らしいと言えばらしいけど、まぁそうだな、三人合格したらそんな生活も悪くないかもな」
4月から始まる新学期と新生活、その頃には俺達はどうなっているんだろうな。今ではとても想像がつかない。
そんなことを考えていると、燐が席を立った。
「さ、優さん。お話は終わりましたしデートの続きでもいたしましょう」
「そうだな」
二人が喫茶店を出て行った時、優達の後ろの席にいた人物が立ち上がり、先ほどまで優の座っていた机に手をかけた。
「ふーん、3人で同棲、ねぇ。私のことを選ばずに他の娘と、しかも二人も・・・これはお話が必要ね。ふふっ」
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