第157話 破天荒なおしおき
受験に向けて俺達3人は週に一度、燐の家に集まって勉強会をすることに決めた。
勉強会と言っても、3人それぞれが別の勉強に取り組み、わからないところは教えあうということをしているので基本的に静かに勉強を続けることが多いのだが・・・
約1名、この空気に耐え切れないものが出てくる。
「もう勉強いやだー!!」
そう、玲狐である。いつも途中で集中力が切れてその度に騒ぎ出す。
その都度俺が勉強の手を止めて玲狐を注意するのだが、たまには別の手段を取ってみるか。
「うるさいぞ、玲狐。まだ1時間も経ってないじゃないか」
「だって12月だよ!?クリスマスだよ!なんで勉強ばっかりなの!付き合っても恋人ぽいことそんなにしてないし!!」
「それが俺達受験生の宿命なんだよ」
「優さんの言う通りですよ、大人しく勉強に戻ってください」
「むぅ・・・って言うか二人とも手を止めて話を聞いてよ!!」
「はぁ、いいか玲狐。俺達もお前に構っている暇はあまりないんだ。だからそんな騒ぐよりも普通に勉強をだな」
「もう、優くん嫌い!奏蘭さんに言いつけてやるんだから!!」
「ちょ、お前、玲狐!!」
立ち上がってそのまま奏蘭さんの部屋に向かおうとする玲狐を止めるべく、俺もまた玲狐を追いかけて奏蘭さんの元へ向かう。
リビングに一人取り残された燐はため息をついた後、勉強を再開した。
玲狐は奏蘭さんの部屋に着くと、軽くノックをした後に部屋へ飛び込んだ。
それを見て優も急いで玲狐の後を追ったが、既に玲狐は奏蘭さんの元に泣きついている。どうやら間に合わなかったようだ・・・
「優くんがね、今日も私に意地悪するの、奏蘭さんなんとかして?」
「仕方ないわねぇ、ちょうどそこにいるみたいだしなんとかしてあげるわ」
「さっすが奏蘭さん!」
「うふふふ・・・」
玲狐が後ろでニヤニヤしながら笑ってる。こいつ、完全に他人事だと思って!
帰ったら絶対にお仕置きしてやると思っていたが、不意に奏蘭さんが歩みを止めた。
「ねぇ、優くん。玲狐ちゃん今日も逃げ出したの?」
「えぇ、まぁ」
「そう、ならお仕置きされるのは当然あの子よね」
そう言うと、奏蘭さんは向きを変えそのまま玲狐の元へ戻って行く。
玲狐が奏蘭さんと見つめ合うこと数秒、そのまま玲狐は奏蘭さんからのお仕置きを受けた。
あぁ、なんと言うか玲狐よ、お疲れ様・・・
奏蘭さんの部屋から戻ってくる頃には玲狐はフラフラになっており、立とうにも壁に寄りかかるのが精一杯だ。
しょうがないので、玲狐に肩を貸しながらリビングに戻ると、机の上にはお茶とお茶菓子が置かれていた。
「優さん、お疲れ様です。ここらへんで休息にいたしましょう」
「ん、それもそうだな」
「ところで玲狐は・・・」
「あぁ、奏蘭さんの攻撃を喰らってばてた」
「なるほど、そういう・・・」
「まぁ、これを機に真面目に勉強して欲しいものだけどな」
それから数日後、再び玲狐が文句を言い始めたのは言うまでもない
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