第155話 破天荒な後任
楓を連れ、優は再び職員室へ戻った。
職員室に入った時には既に先生がニヤニヤしながら小さく手を振っている。
「どうやら決まったみたいね」
「本人からまだ同意は得られてませんが」
「そこは私自身が聞くから問題ないさ、君の仕事はあくまで人を選んで公認を決めてもらう、それだけさ」
「じゃあもう僕は帰ってもいいですよね?」
「いいわけないだろう、少し外で待っていてくれ」
「わかりました」
辺りを見渡しながらおろおろしている楓だけを残していくのは心配だが、残っていてもあの先生に何を言われるか知りたくもないので、大人しく外で時間を潰すことにした。
これが終われば俺もお役御免でただの受験生に戻る。学校生活で残された時間も後わずか、どうやってこの時間を有意義に過ごしたものか悩んでいると、楓と先生が一緒に出てきた。どうやら結論が出たようだな。
「喜べ、優。お前の後任が決まったぞ!」
「それはよかったです」
「って訳だから、生徒会のこと教えてやってくれ!」
「え、今日ですか!?僕にも勉強しなきゃいけないことが・・・」
「ん?それをお前が言うのか?君の場合はほぼ準備が終わってるじゃないか」
この先生、本当どこまで知ってるんだよ。
決まったのだってつい最近の話なのに、どこから情報を集めてるんだよ。
こりゃ下手に嘘ついてもばれそうだな・・・
「わかりましたよ、案内をすればいいんですね」
「助かるわ、それと仕事の説明とスピーチを一緒に考えてやることだな」
「ち、ちょっとそこまで多いのは聞いてないんですけど!?」
「大丈夫、君ならできるさそれじゃ!!」
「あ、待って!」
俺の引き止めも虚しく、先生は職員室へ帰って行った。
その様子をじっと見続けていた楓は再びおろおろと辺りを彷徨き始める。
とりあえず、こいつのこともなんとかしないといけないしまずは楓を案内してしまおう。
「生徒会室はこっちだから一緒に来てくれるか?」
「あ、はい!」
はぁ、俺の仕事はまだしばらく終わりそうにないな・・・
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