第154話 破天荒な候補
ある日の放課後、俺は職員室に呼び出された。
呼び出されるようなことをした覚えはないんだが、とりあえず行って話を聞いてみるか。
職員室に着くと、担任の朝倉先生が手を振ってきた。
クラスのことで何か問題でも起きたのかと思い、思い当たる節を考えながら先生の元へ向かった。
「すまんな、急に呼び出して」
「いえ、それでご用件は一体・・・」
「あぁ、後任の生徒会役員についてだ」
「あ、そういえばもうそんな時期でしたね」
「お前たちの時に二年の奴がいなかっただろう?だから誰を会長として就任させようか迷っててだな」
「なるほど・・・それは確かに問題ですね」
「そうだろ?だからお前にも一緒に考えてもらいたくて」
「別に構いませんが、私はあまり知りませんよ?」
「それなら大丈夫だ、既に何人かをピックアップしてあるからその中から選んでくれ」
そう言うと、机の引き出しから3枚の紙を取り出した。
その紙には顔写真と氏名、そして所属している委員会と部活まで書かれていた。
だが、これだけの情報があればあまり時間をかけずに決められるかもしれない。
紙を一枚ずつ取り、しっかりと吟味していく。
その時、ふと一人の人物で手が止まった。
その子の名前は如月 楓、おそらく委員長の妹だろうか。
委員会は風紀委員、部活は陸上か・・・美玖とも話が合いそうだな。
真剣に考え込んでいる俺の表情を見て、ニヤニヤしながら先生が近寄ってきた。
「おやおやぁ、誰か気になる子でも見つけましたかぁ?」
「・・・なんですかそれ、選ぶのやめますよ?」
「あぁうそうそ。冗談だから!それで、いい人は見つかったかしら?」
「えぇ、この人なんかどうでしょう」
「・・・なるほどねぇ、この子ならできるかもしれないわね」
「早速明日にでも誘ってみます」
「いえ、行くのは今日、これからよ!」
「はぁ!?なにいってるんですか?」
「ごちゃごちゃ言わないでさっさと行ってきて!!」
俺は駆け足で女子陸上部の練習しているグラウンドへ向かった。
グラウンドへ行くと、俺のことに気づいたのか美玖が駆け寄ってきた。
ここで美玖に会えたのもちょうど良かったのでそのまま楓を呼んでもらうことにした。
美玖は初めこそ文句を言っていたが、生徒会のことで話があると言うと渋々納得し、呼びに行ってくれた。
美玖が行ってから待つこと数分、こちらに一人の少女が歩いてきた。
「こんにちは、如月 楓です。いつもお姉ちゃんがお世話になっています」
「あ、あぁ。結衣にはいつも助けられているよ」
「それで、私に用とは?」
「君、生徒会の会長をやってみないか?」
「・・・え?」
お読みいただきありがとうございました。