第153話 破天荒な相談
目指す大学を決めた後、俺は里奈さんの元へ向かった。
と言っても里奈さんがどこにいるかなんてわからないので姉さんに聞いてみると、今の時間は家でくつろいでいるらしい。
ならばちょうどいいと思い、出かける準備をすると姉さんも後ろからついて来ていた。なんの理由もなくついてくるのはどうかと思っていたが、車に乗せてくれるそうなので何も気にしないことにしよう。
何か言って機嫌を損ねると大惨事になりかねないしな。
姉さんの車で向かうこと数分、久しぶりにこの豪邸と再開したなぁ。
この門の前にくるだけでも変に緊張してしまうが、そんなところを一切感じさせない姉さん、やっぱり大人ってすごいな・・・
大きな家のドアを叩くと中から奈々さんが出てきた。
「お待ちしておりました。奥でお嬢様がお待ちです」
そう言われながら、姉さんと一緒に部屋に案内された。
目の前には里奈の部屋と書かれた可愛らしい看板がかけられている。
奈々さんが軽くノックをすると、中から里奈さんの声が聞こえた。
里奈さんがドアを開けると、奈々さんが扉を押さえ続けて俺たちが入りやすいようにしてくれた。
部屋に入ると、里奈さんは先ほど座っていたであろう椅子に再び座り、後ろに仰け反り、その後優を見つめ続けた。
しばらく見続けた後、姉さんの咳払いで我に帰り、俺は本題に入ることにした。
「大学、里奈さんと同じところに入ることにしました」
「おぉ!!そっかそっか。いやぁ、本当に報告しに来てくれたんだね」
「まぁ、一応言われてたので。それで呼ぶって事はそれなりの理由があるんですよね?」
「あ、そうだったわ!あなたあの学校に推薦枠で入る気ないかしら?」
「・・・え!?」
「不満?」
「い、いえむしろ嬉しいって言うかなんて言うか」
「いいのよ、もらえるものはもらっときなさい」
「そうよ、優。もらえるものはもらうべきよ!」
「なんか姉さんが言うと違う意味に聞こえるんだけど・・・」
「あんた私をどう思ってるのよ!!」
「じ、冗談だって!!」
「相変わらず仲良いわね」
「これくらい普通だと思うわよ?」
「普通の姉弟の戯れじゃない気がするのだけれど」
「別に毎日やって来ますし、今更ですよ」
「・・・道踏み外さないでよ?璃亜ちゃん」
「え、私なの!?」
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