第152話 破天荒な進路
優は朝から悩んでいた。自分はどの大学に進むべきなのかを。
玲狐は既に決めており、優もそこに行こうかと考えていたが里奈さんから自分の大学に来ないかと誘われてどちらにしようか決められていなかった。
玲狐は一緒の学校に行けるとウキウキしていたが、俺個人としては里奈さんに誘われた方に行きたいと思っている。そこに行けばきっと自分のやりたいことが見つけられるかもしれない、そう思ったから。
だから俺は、里奈さんのいる大学に進もう!
大学を決めた後、俺は玲狐の家に向かった。玲狐の誘いを断るために。
インターホンを鳴らすと、玲狐がドアを開けてくれた。
どうやら今は家に一人のようだな、1人にしては不用心な格好をしているな。
ぶかぶかのTシャツ一枚と半ズボンだけって・・・
いや、俺は嬉しいんだけど誰かが家の中に入ってきたらどうするんだよと心の中で思っていた。
玲狐はすぐに入ろうとしない優を不思議に思いながらも、手を引っ張って強引に家の中に引き入れた。
リビングに着くと玲狐がお茶を淹れてくれた。
話に入りたかったが、せっかく淹れてくれたんだし温かいうちにいただこう。
優は一口お茶を飲んだ後、真剣な眼差しで玲狐を見つめた。
「なぁ玲狐、大事な話なんだが」
「一緒の大学には行けないって話?」
「な、なんで分かったんだ!?」
「えへへ、私は優くんの彼女だよ?それに幼馴染みでもあるんだし、なんとなくわかるよ」
「そ、そういうもんなのか?ま、まぁそういうことだからすまない玲狐」
「ううん、大丈夫だよ。私もあそこ受けるからさ」
「あぁ、そうかそれなら安心だな・・・って、はぁ!?」
「どうしたの?そんなに驚いて」
「だ、だって俺そんなこと一言も聞いてないし」
「あれ、燐ちゃんにはもう言ってあるから優くんも知ってると思ってたよー」
「初耳だよ!はぁ、なんだよ。じゃあ、こんな心配してたのは俺だけだったのか」
「そういうことにはなるかなぁ」
「・・・でもお前大丈夫なのか?あそこ結構難しいと思うぞ?」
「そ、それは優くんにも言えるからね!!」
「ぐっ・・・」
「でも、また三人一緒だね」
「あぁ、そうだな」
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