第151話 破天荒な連れ戻し
「こんなところで何をしているんですか?姉さん」
「こ、こここここれには深いわけが・・・」
「・・・とりあえず話は後で聞きます。もうすぐ映画が始まってしまうので姉さんたちもとりあえず戻ってください」
そう言うと、燐は椅子に座り直し映画が始まるのを待った。
奏蘭達も燐をあまり刺激しないように椅子に座り映画の始まりを待った。
数分後、映画が始まった。この4人は映画の内容をそんなに知っているわけではないので流し見るだけになるかと思っていたのだが・・・
映画終了後、涙を流しながら出て来る4人の姿があった。
「あの映画、とても感動したわ!!」
「えぇ、主人公が友達のお姉ちゃんと協力するシーンなんか特に良かったわ!」
「奏蘭さん、違いますよ〜。一番良かったのは妹にだけ自分の素直な気持ちを伝える主人公と妹のシーンじゃないですか!!」
「ち、違うよ美玖ちゃん。良かったのは主人公と旅館の看板娘とのデートシーンで・・・」
「いやいや、一番良かったのは主人公がお姉ちゃんと一緒に闘争劇を繰り広げるところだったわ!!」
どのシーンが良かったのかなどを議論しながら映画館を離れていく4人だったが、映画館の出口に着いたあたりで奏蘭が気づいた。
「あれ、そういえば優くん達はどこ?」
映画の完成度が予想以上に高く、夢中になってしまったおかげで尾行対象だった優達を完全に見失ってしまったのだ。
これではこの後どこに行ったかもわからないし集まった意味がない。一体どうすれば・・・と悩んでいる時1人だけ笑みを浮かべているものがいた。
そう、それは璃亜である。璃亜にはこう言う時のための秘密兵器があった。そう、事前に優に渡しておいたGPSだ。
これさえあれば位置情報なんて一目瞭然、完全に追いかける気満々であったがここで遂に燐に見つかってしまう。
「やっと見つけましたよ、姉さん達。何を企んでいたか洗いざらい吐いてもらいましょうか」
「・・・て言われたけど、どうする?」
「別にいいんじゃないかしら?」
「おっけー。実はここで優と玲狐ちゃんがデートしてたのよ。それの尾行をしてたの」
「・・・デートの尾行、ですか?」
「うん、スパイみたいでかっこよくない?」
「わかる、格好いいよね〜」
「やっぱり奏蘭はわかってくれるかー、私は嬉しいよ!」
「いや、流れに流されそうになりましたけど許しませんよ?」
「えー、なんでさ。この後の展開知りたくないの?」
「そ、それは知りたいですけど・・・」
「じゃあ燐ちゃんも一緒にどうかな?」
「あ、う、う・・・や、やっぱりこんなのは許されないです!!」
「ちぇっ、ダメだったか」
「ダメだったかじゃないですよ。姉さんも笑ってないでさっさと帰りますよ」
「はーい」
燐が奏蘭達を見事に家に帰宅させた頃、優達は近くの喫茶店でコーヒーを飲みながら映画の感想を語り合っていた。
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