第147話 破天荒な突撃
クレアの家に監禁されてから一日が経っただろうか。周りから得られる情報が少な過ぎて時間すら正確に分からない。
クレアが用意する食事のお陰で多少時間がわかるくらいだ。食事も俺と燐では違いがあった。
燐はクレアの使用人から菓子パンを皿に載せて渡された。
俺の場合はクレアが自ら作った料理を振る舞ってくれるが、その食事全てをクレアの手で食べさせようとする。
最初は拒んだが、クレアの指示を拒否するたびに燐に電気を食らわせると言われ、クレアに逆らうのをやめた。
食事を食べ終わると、クレアは物を片付けるために一旦部屋に戻る。それを見越して俺は燐に声を掛けた。
「おい、燐。大丈夫か?」
「少し辛いですが、まだ大丈夫です」
「そうか・・・腕に付けられてたそれは外せそうか?」
「外せるとは思いますが、もう少し時間がかかりそうですね」
「俺のは頑丈に出来すぎていてびくともしないんだが、そっちは安物なのか?」
「いえ、単純に鍵があるので」
「お前、いつの間に」
「先ほどいた使用人は昨日私を襲って来た張本人なのですが、どう言うわけか後ろポケットに不用心に鍵をぶら下げていたので食事を置いた瞬間に」
「それなら少なくとも燐は脱出できるな」
「ですが、そうしてもあまり変わらないんですよね」
「難しいものだな・・・ところで姉さん達は何か言ってたか?」
「優さんのことは心配していましたが多少遅くなるくらいなら、って言ってましたね」
「それが今となっては帰らずに監禁されているって訳だからな」
「流石にもうここの場所は突きとめてると思いますよ」
「まぁあの人達のことだからなぁ・・・」
「何話してるのかな???」
クレアが突然現れた後、そのまま俺達に質問を投げかけた。
これで俺は間違えて結果ナイフが飛んで来たんだ。今回は何としても回避しなくては。
かと言って正直に伝えると万全の準備で対抗してくるかもしれない。
が、黙っていると何をされるか分からない。まさに究極の選択。
だが俺も男、燐を守らねばならない。なら、今俺が言う言葉はただ一つ!
「そろそろ姉さん達が来ちゃうんじゃなかって言う話を」
俺が答えようとした瞬間、ドアが勢いよく開いた。そこには見慣れた数名の女子が立っている。
「ここかー!!!」
「私達の優くん」
「返してもらわよ!」
玲狐、璃亜、奏蘭の三人が思いっきりドアを突き飛ばして来たのでドアは勢いよく倒れた。
何はともあれ救助がついに来た!これで俺達もだいぶ有利に立てるぞ!!
が、そんな状況になってもクレアは全く動じていなかった。
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