第14話 破天荒な体育祭その3
レンになんとかして気づいてもらおうと思いレンに視線を送ってみた。するとレンがこちらに気づき振り向いた。
「よう、レン。どうやら俺達は同じレーンの敵同士みたいだな。」
「あぁ、実行委員では世話になったが勝利は俺たちが頂くからな!そうだろ、彩!」
「う、うん。頑張ろうね」
「お前らここでも一緒だったのか」
「優もペアは玲狐だろ?」
「いや、俺のペアは玲狐じゃないぞ」
「あれ、そうなのか?」
「あぁ、クラスメイトのクレアってやつだ」
「クレアか、うちのクラスでもたまに名前を聞くな。帰国子女とかなんとか」
「そこはあってるわ。って、おおっ、クレア。いきなり出てくるなよ」
「すいません、よく私に関するデマが流れたりするので」
「そうなのか?」
「えぇ、誤解を解くのも大変なんです」
「おっと、そろそろだな。お互いベストを尽くそうぜ。」
「おう、俺達が1着でゴールして優勝はいただきだ!」
そして俺達は事前に渡されている紐でお互いの片足を合わせて結ぶ。
なるべく足首に負担がかからないように慎重に紐を縛る。
「大丈夫か?痛かったりきつかったりしてないか?」
「うん、大丈夫だよ」
「次の組、前に出てください」
「頑張ろうな」
「はい」
「位置について、よーいドン!」
ピストルの合図と共に俺たちは走り出した。
お互いに1・2、1・2と掛け声を出し合いつつお互いに負担のかからないように走る。
現在は俺達がトップだがそのすぐ後ろにレンと彩がいた。
レンたちは掛け声などもないが不思議と息が合っていた。お互いのペースが乱れないよう最善の注意が払われつつ足の速いレンにも遅れをとらぬよう走る彩。
そんな二人に追い越されるのにはそんなに時間はかからなかった。
結果的に俺達は前半はリードしていたものの中盤からのレン達の追い上げにより2位。そしてレンは宣言通り1位を獲得した。
「いやー、速かったなー。負けちまったよ」
「ふふふ、言っただろう、一位を取るって」
「彩さんも速かったですね。」
「あ、ありがとうございます」
「そういやお前ら言葉もなしにあんなに息合わせられるなんて凄いな」
「あったり前だろ。なんたって俺達は小さい頃から一緒だったし今は付き合ってるからな」
「ち、ちょっとレンくん・・・」
「あれ、俺言っちゃった?」
「なんだ、やっぱ付き合ってたのか。」
「あれ、驚かないのか?」
「いえ、なんというかわかってたと言いますか」
「実行委員の時から付き合ってるんじゃないかとは思ってたぞ。幼馴染みだった事は知らなかったけどな。」
「なんだ、わかってたのかよ」
「でも玲狐は多分知らないと思うぜ。あいつそういうの見極めれないからな。」
「それじゃあ玲狐が戻ってきたら言ってみるか」
そして玲狐も二人三脚を終え、戻ってきた時にレンと彩が付き合っている。と伝えたところ
「えー!?そうだったの!?」
とやはりわかっていなかったようだ。
玲狐とペアを組んでいた委員長も一緒に聞いていたが驚いてはいなかった。その代わりに顔が少し赤くなっていた。
一方その頃・・・優達の学校の駐車場に1台の赤い車が止まる。
そこから降りてきたのは優の家の前に現れた長い青髪の女性だった。
その女性は車のトランクから大量のカメラや撮影機材などを取り出した。
そして車の中で動作チェックをし、動くことを確かめ体育祭の会場であるグラウンドへと向かう。
その時優の出る種目のひとつが終わり美玖が
「サプライズで連絡していた人がそろそろ来るはずだから迎えに行ってあげて」
母親に頼まれ校門前へと向かった。
するとその先には見覚えのある人物がこちらに向かってきていた。
目を凝らし特徴を確認する。
長い青髪、スラリとした体型、そして大量のカメラ。これは間違いない、と美玖は確信した。
そしてあちらもこっちに気づいたのか手を振りつつこちらへと向かってくる。
その女性は1歩手前で止まった。
「・・・璃亜さん」
「美玖ちゃんひっさしぶりだね。」
美玖の前に突如として現れたのは実の姉であった。
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