第144話 破天荒な失踪
そういえば、玲狐と付き合い始めてから燐に会っていないな。
この前奏蘭さんがうちに来た時にいなかったし、でも奏蘭さんとは会ってたんだよな。
それに、今日は学校にも来てなかったし。一体どこに行ったんだ、燐は・・・
それでも、放課後の生徒会は避けては通れない。山積みの書類、燐がいない分しっかりしないと。
俺は両頬を軽く叩き、気合を入れた。いざ始めようと思ったその時、生徒会室の扉が開いた。
ドアを開けると、俺のクラスの担任である苺華がそこに立っていた。
「失礼するわ、優ってまだいる?」
「いますけど、何か用ですか?」
「丁度良かった、実は学校宛に書類が来ていたんだけれど、なにぶん重くてね・・・」
「それで代わりに俺に運んでもらおうとしたんですね」
「えぇ、時間は大丈夫?」
「まぁ多少は遅くなるかも知れないけど大丈夫です」
「じゃあお願いね!!玄関にもう置かれてあるから!!」
・・・まぁ、先生達のこういう雑用をやるのも生徒会の仕事の一つ・・・だよな?
そう思いながら優は階段を降り、玄関前に向かった。
玄関にはダンボール3箱分が縦に重ねられて置かれていた。これは、中々の重労働になりそうだ。
一つ職員室まで運んでは玄関まで戻るを繰り返す事三往復、ようやく終わった。
かに思えたが、さらに先生から追加でコピー室でコピーしていたものを取って来てほしいと頼まれた。
職員室の反対側にあるコピー室のコピー機から書類を取り出し、職員室まで歩いて行った。
「はい、これで全部ですか」
「えぇ、ありがとう助かったわ」
「いえ。では俺はこれで」
「ちょっと、待ってもらえるかしら」
「何ですか?」
「・・・いえ、やっぱり何でもないわ」
「そう、ですか?それなら良いんですけど」
生徒会室に戻ると、今までそのまんま進んでいなかった資料がいつの間にか終わっていた。
どうやらみんなが手伝ってくれていたらしい。これには頭が上がらないぜ、今度何かでも困ってたら助けてやろう。
そう心に誓った。ともかく、みんなが仕事を終わらせてくれたおかげでみんな余裕ができたようだが、
俺だけは違う。そう、俺はこの後の為の生活マニュアルを書いていくことにした。
まぁ俺が新しくやりはじめたことをそのまま伝えるだけなのでそんなに時間はかからない。
が、書き上げた頃には既に夕焼けで空が赤くなっていた。
出来たのなら丁度よかったんだが、帰る時に事件は起きた。
学校の校門から出た瞬間、謎の集団にが現れた。
「おい、何のつもりだ!?」
「言葉は聞くな、さっさと捕まえろ」
「は!?お前、ちょっと離せよ!!」
捕まり優はそのまま車に乗せられて行ってしまった。
その場には、争いになった時に落ちた犬のキーホルダーのみしか残っていなかった。
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