第141話 破天荒な告白
「私、ずっと前から優くんのことが大好きなの、誰にも渡したくないくらい」
「あ、ありがとう・・・っていうか、こういうのは俺から言いたかったんだが」
「てっことは返事は・・・?」
「あぁ、こんな俺でよければよろしくお願いします」
「や、やったー!!!」
玲狐はひとしきりに大喜びした後、目に涙を浮かべていた。
顔はここ最近で一番の笑顔なのに目からは涙が流れている。優はそっとハンカチを手渡し、玲狐に涙を拭くように伝えた。
「えへへ、嬉しくて嬉し涙まで出て来ちゃったよ」
「この数分でお前の色々な感情が見れた気がするよ」
「でも、優くんの彼女か〜。明日いつも通りに学校行けるかな」
「お前のことだから燐と会った時からずっとニヤニヤしてそうだな」
「むぅ、失礼だねぇ。私でもポーカーフェイスくらいできるよ!!」
「ほぉ、じゃあやって見てくれ」
そう言われると、玲狐はキリッとしたキメ顔を決めたが数秒後には顔の筋肉が溶けたかのようににやけ顔になっていく。
これはもうしばらくは治りそうにないな。
「お前にはまだポーカーフェイスは早かったみたいだな」
「なんかすごい悔しい・・・」
「さて、そろそろ帰るか」
「うん、そうだね!」
そう言うと、玲狐はニコニコしながら俺の元へ手を差し伸べて来た。
手を取るかどうか、少し葛藤していたが玲狐の手の位置が全く微動だにしないので優が折れて手を繋ぐことにした。
まぁ、手を繋いで帰るってのも恋人らしくていいんじゃないかな・・・
隣にいる玲狐の顔をちらりと見ると、満足げな顔で歩いていた。
あ、そういえば姉さん達に何も言わずに恋人になっちゃったけど、言う義理もないし言わなくても怒られないだろ。
のちにこの軽い考えが騒動を引き起こすのはもう少し先のお話。
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