第137話 破天荒な生徒会業務
高校生活最後の夏休み、受験に追われる人もいるが最後の夏だし楽しみたい!と言う人達もいるだろう。
さて、俺はどっちに分類されるか。正解は、どちらでもない。夏休みの間も生徒会の仕事に休みはないのだ。
というか、なんで俺達は夏休みの間も生徒会の仕事をしているんだ?
夏休みくらい休ませてくれたっていいだろうに・・・
「なぁ、玲狐もそう思うよな!!」
「え、ごめん。何の事?」
「夏休みは休みたい、という優さんの意見です」
「・・・休めばいいんじゃない?今日は結衣ちゃん来てないし」
「言われてみれば、何か理由とか聞いてないのか?」
「二泊三日でお婆ちゃん家に行くんだって」
「そうか、じゃあ俺も明日休むか」
「この資料が終わったらね」
「あ、後こっちの確認もよろしくお願いします」
「・・・お前ら、やっぱり俺を休ませる気ないよな?」
玲狐から受け取った資料を片付けながら、合間で燐から受け取った資料の承認を行う。
その二つを同時進行している間に、ちらりと机の上に置かれている資料の山を見た後俺は机の上に倒れこんだ。
この量、今日中には終わらないかもな。これだと今後の休みの予定入れられそうにないな。
「海、行こうとしたんだけどな・・・」
そう優が呟いた瞬間に、玲狐と燐が机の上に置いてあった資料の半分以上を持っていった。
え、え、何事?俺は疲れて幻でも見てるのかと思ったが資料は先程の4分の1まで少なくなっていた。
「何をぼさっとしているんですか、早く終わらせますよ」
「そうだよ!ちゃんと集中して!!」
「お、おう・・・」
ど、どうなってんだ?こいつらが急に本気で取り組み始めるなんて・・・
まさか二人も夏休みに何か予定があったからそれのために!?
その線も全然あるな。それなら納得もいくし、俺も予定が入れられそうで助かる。
しかもこのペースなら今日中には絶対に終わりそうだな、俺も頑張って終わらせるか。
それから約3時間後、夏休み分の生徒会の仕事の大半を終わらせる事に成功した。
これならしばらく連休作っても大丈夫そうだな。でも、二人はどうするんだろう。
「なぁ、二人とも、俺の仕事を手伝ってくれたのはとても嬉しかったんだが何か目的でもあったのか?」
「目的って・・・海に行くんじゃないの!?」
「は?いつ俺がそんなこと言ったよ」
「ちゃんと聞いてたもん!海、行こうとしてたんだけどな。って言ってたじゃん!!
「そこが一番大事ですのよ。行くんですか、行かないんですか?」
「わかったよ、みんなで行こうぜ」
「わーい!そうと決まれば早速みんなに連絡しなきゃ」
「私、食材の準備をしてきます」
そう言い残すと二人は颯爽と生徒会室から出て行った。
そして生徒会室には優一人だけが取り残された。
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