表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
139/172

第136話 破天荒な教育実習最終日

奏蘭さんがこの学校で教育実習生として過ごして三ヶ月が経過した。

夏休みに入る前の朝の全校集会で奏蘭さんの実習期間が終了した事が生徒達に言い渡された。

生徒達からの悲しみの声が色々な所から聞こえて来る。

最後のあいさつをする為、奏蘭さんが壇上の上に置かれているマイクの前に立った。


「えー、三ヶ月間大変お世話になりました。先生方から沢山の指導を貰い、私は今までよりも確実にレベルアップしました。そして生徒の皆様は私を明るく迎え入れてくれ、授業の時も真剣に受けてくれてとても嬉しかったです。三年生のみんなと行った修学旅行は忘れられない思い出です。この経験を生かして、将来立派な先生になれるように頑張ります」


一歩下がり、一礼をすると奏蘭さんに向けて盛大な拍手が贈られた。

今日の進行役だった俺と燐も精一杯の拍手をしていた。燐は奏蘭さんが教育実習生として来た時は心配過ぎて倒れたが、今となってはそんな心配もしていないようだ。

全校生徒で行われた奏蘭さんの修了式、その後3年のみんなが集まり花束や感謝のメッセージを奏蘭さんに渡した。

最後に俺らのクラスと一緒に記念写真を撮った。その時の奏蘭さんの笑顔は中々見れないような素敵な笑顔だった。

が、ここまでが学校内での出来事だ。

折角の奏蘭さんの終了祝いと夏休みスタートを兼ねて俺の家でちょっとしたパーティを開こうと計画していた。

それにはもちろんみんな大賛成で母さんに作ってもらった料理を運んでいるのだが・・・机の上に何かの空き瓶が置かれていた。

何の瓶か確かめるために瓶を持ち上げると、ラベルにはビールと書かれている。

俺は瞬時にまずいと思ったが、行動に起こすのが遅かった。


「優くーん。わたひ頑張ったよー!!」

「は、はい。お疲れ様でした」

「もうずーっと気を張り続けないといけなくて疲れすぎちゃったぁ」


だ、誰だ奏蘭さんに酒持って来たのは!!!

俺はあたりに目を配ると、玲狐が上の空でこちらを見ようともしなかった。

その時悟った。あ、こいつが犯人だなって。

しかし、今は奏蘭さんの拘束から逃れられないため何もする事ができない。

仕方がないので、燐に顔だけで精一杯ジェスチャーをした。

すると何かわかったのか燐がポケットからペンを取り出した。

おい待て、ペンで何ができるんだ。と思ったら燐が紙を見せて来た。


『玲狐を連れて帰ります。今日ぐらいは甘えさせてあげてください』


とだけ書かれていた。俺が読み終わったのを確認したと同時に玲狐と燐は消えていた。

燐よ、お前はどれだけ人間離れな技を身につけるんだ・・・

その後、夜中の2時まで奏蘭さんの愚痴と思い出を聴いていた所、しびれを切らした姉さんにより奏蘭さんは強制退場となった。

はぁ、この数時間でどっと疲れた。まぁでもお疲れ様、奏蘭さん。

お読みいただきありがとうございました。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ