第135話 破天荒な呼び出し
日曜日、部屋で漫画を読んでると珍しく奏蘭さんから誘いの連絡が来ていた。
近くのカフェに姉さんを連れて一緒に来てと一言だけ書かれていた。
俺は隣でパソコンをいじっていた姉さんに奏蘭さんからの誘いを話し、二人でカフェに向かった。
何だかここに来るのも久しぶりだな。カフェに入ると、先に待っていた奏蘭さんがこちらに気付いたのか手を振っていた。
席に座り、とりあえず二人分のコーヒーを注文した。
奏蘭さんはコーヒーを一口飲んだ後、真剣な表情でこちらを見た。いつになく真剣だし、これはきっと何かあったに違いない。
「単刀直入に言うわ、優くん。あなた・・・」
「お待たせしました、コーヒーお二つになります」
「あ、どうもありがとうございます」
「では、ごゆっくり」
「・・・もう一回始めから言わせて」
「あ、はい」
「単刀直入に言うわ、優くん。あなたいつになったら告白するの?」
「はぁ!?何言ってるんですか!!」
「修学旅行の時、私達は確かにあなたの気持ちを知ったわ。でも、その日以降まるで進展がないじゃない!!」
「別にどのタイミングでしようが俺の勝手じゃないですか!」
「えぇ、確かにそうよ。でも、引き伸ばし続けるとあなた後悔するわよ?」
「それってどういう・・・」
「ちゃんと考えればわかるはずよ。あなた自身だけではなく、周りのことも考えた上でね」
「は、はぁ・・・」
「それじゃあ私は帰るけど、あなた達二人は少しゆっくりしていっても良いんじゃないかしら?せっかく姉弟で来てるんだもの。お金は私が出しておくわ」
そう言うと、奏蘭さんは伝票を持ちながらレジへ向かって行った。
俺自身だけではなく、周りのことも考えて、か。難しいな。
確かに俺は今まで周りのことを考えてはいても深く考えようとしなかった。
これは一人一人としっかり話してみたほうがいいかもしれないな。
そう決断した時、レジにいたはずの奏蘭さんが何故かこちらに戻って来た。忘れ物でもしたのかな?
「あ、あのね璃亜ちゃん。お金貸してくれない?お財布忘れて来ちゃった」
「はぁ・・・今度返してよ」
「うん。ありがとう璃亜ちゃん」
何と言うか、今日の奏蘭さん物凄く運が悪いな。
さっきも会話しようとした瞬間注文してたもの届くし、お財布も忘れるしで。
その後、奏蘭さんは逃げるようにカフェを去って行った。
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