第130話 破天荒な修学旅行2日目 肝試し
楽しかった自由時間を終え、優達は再びホテルに戻っていた。
あたりはすっかり暗くなり、静かな時間が流れる。修学旅行も明日で最終日、なんだかんだあっという間だったな。
そう思いながらベッドで横になっていると、ドアがノックされた。ベットから降り、ドアを開けると奏蘭さんが立っていた。
「どうかしたんですか?」
「今から肝試し大会をやるのよ!」
「・・・すいません、俺ちょっと用事が」
「こうなると思ってたからちゃんと援軍を連れて来てるわ」
「そういうわけなので優さん、失礼します」
「お、おい燐!やめてくれ、今ならまだ間に合う!!」
「さ、会場にレッツゴー!」
肝試しが行われる場所である近くの森に行くと、既にクラスのみんなが集まっていた。
怖がっている人も何人かいるが、平気そうな人も少なくない。
あたりを見回している間に玲狐がこちらに気付き駆け寄って来た。
「あれ、優くん来たの?」
「あぁ、燐に強制的に連れて来られた」
「でも大丈夫?だって優くんって確か・・・」
「だ、だだだだ大丈夫に決まってるだろ?」
「あれ、もしかして優くんって」
「えぇ、オバケとかが苦手よ」
「ふーん・・・燐ちゃん、玲狐ちゃんと優くん三人で行ってもいいよ」
「え、でもあれは二人一組じゃ」
「いいのいいの。どうせ最後に回せばなにも言われないだろうし。そ・れ・に、多分三人の方が面白いものが観れると思うよ」
「はぁ・・・」
順番が来るまで待っている間も優はテンションが下がったままだった。
まぁ、怖いもの苦手だし、無理もないだろう。それにしても姉さんは何を隠していたんだろう・・・
そんなことを考えている間に燐達の番になった。優は自分の両頬を叩き、覚悟を決めたようだ。
早速三人で森の中に入って行く。
今回はまっすぐ行って、開けた場所にある神社にお参りをし、お札を持って来て帰るというルートになっている。
森に入るなり優はあたりをずっと見渡し続けている。もう首を振りすぎて首がつりそうになっている。
すると、茂みの中からガサガサと音がした。優は一瞬後ろに下がったが、茂みに近づき始めた。
すると、そこから幽霊のコスプレをした人が飛び出して来た。
「ばぁ!!!」
「わぁああ!!!」
「って、あれ優じゃん!!」
「あの、璃亜さん。優さん、気絶してます」
「・・・ありゃ」
目を覚ますと優はホテルの部屋に居た。
周りには玲狐と燐、それに奏蘭さんと姉さんもいた。
「あ、目が覚めました?」
「お、おう」
「ごめんね優!まさか最後が優達だって知らなくて」
「いや、別にいいんだよ」
「にしても優くんの怖がりは治らないよね。ほら、今日はこんな感じだったんだよ」
そう言いながら玲狐が携帯で見せて来たのは、優が驚いて気絶する瞬間だった。
「おい、その動画を今すぐに消せ」
「えー、嫌かな」
「早く携帯を寄越せぇええ!!」
「ダメですよー!!!」
しばらくこのやり取りは続いたが、明日の最終日の買い物で玲狐について行くという約束を交わし、動画を消してもらうことに成功した。
もうしばらくお化けの類は見たくもないな。
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