第129話 破天荒な修学旅行2日目 水泳大会
青い空、白い雲、そして辺りに広がる海!!まさに最高のタイミングだ。
この修学旅行一番の大目玉、海!!これは事前の抽選で勝ち取ったクラスのみが参加できるイベントだ。
他のクラスは釣りをしたり、ダイビングをしたりと色々割り振られている。
そして今日はここが貸切状態、海を最大限まで満喫することができる。
当然みんな水着に着替えるわけで、俺を含み男子は期待に胸を膨らませていた。
更衣室の中から初めに出て来たのは担任だった。それに続き、奏蘭さんも出て来た。
二人が出て来た時、思わず歓声があがった。スタイルが抜群な二人を前にした健全な男子高校生なのだから、仕方ないだろう?
「いつまで恥ずかしがってるんだ、さっさと出て来なさい」
そう言われると、女子が一斉に出て来た。どうやらもう吹っ切れたらしいな。
まぁでも、七海だけは燐の後ろに隠れてるんだが・・・まぁ、仕方ないな。
「よーし、これで全員揃ったな!!それではこれから5時間自由時間だ海で遊ぶもよし、砂浜で遊ぶもよし、飯を食べるもよし!各自思う存分楽しんでくれ!!」
そう言うと、みんな一斉に海に向かって走り出した。
みんな元気が有り余ってるなぁ。折角の機会だし俺はゆっくりさせて貰うか。
俺は用意されていたビーチパラソルを立て、パラソルの下に椅子を設置した。あとはテーブルを持って来て飲み物を置けば・・・完成だ!!
リラックステリトリー、海仕様!!今まで溜め込んでた本をじっくり読もう、時間もたっぷりあるしな。
優雅に飲み物を飲みながら本を読んでいると、奏蘭さんが近づいて来た。
「優くんは海に行かないの?」
「えぇ、溜め込んでた本を読んでおきたくて」
「ふーん・・・私も隣いい?」
「別に構いませんけど・・・」
「みんなはしゃいでるねー、玲狐ちゃん達はビーチバレーしてるし、海に潜りに行った人もいるんだって〜」
「みんな思い思いに楽しんでるんですよ」
「そうだね〜。さてと、優くん、賭けをしない?」
「何のですか?」
「それはね・・・」
「・・・いいぜ、俺に対戦を申し込んだことを後悔させてやる」
「ふふっ、私に勝てるかな?」
そんな二人の会話を遠くから見つめている人物がいた。
「何かあったの?燐ちゃん」
「姉さんと優さんが何やら楽しげに話していて・・・」
「あれあれ、もしかしてお姉さんに嫉妬してるの?」
「そんなわけないでしょう、それよりもほら続きをするわよ」
「うん・・・ってあれ、優くん達こっちに来てるよ」
二人はバレーコートを超え、海に入り、足の着くギリギリの場所まで行き、軽く準備運動した後二人は海に飛び込んだ。
二人ともほぼ同じスピードで海で泳いでいく。互角の勝負かと思われたが、奏蘭がわずかに上回り奏蘭の勝利となった。
優は泳ぎ切った後、その場にしゃがみこんだが奏蘭はまだまだ余裕がありそうだった。
「私の勝ちでいいんだよね、優くん」
「か、完敗です」
「じゃあ約束どおり、今日のお昼奢りでよろしくね!」
「く、くそー!!」
奏蘭さんがパラソルの元へ戻って行くと、そばで見ていた燐が駆け寄って来た。
「お疲れ様です、優さん。飲み物をどうぞ」
「あぁ、ありがとう」
「でも、よく姉さんに挑みましたね。昔全国大会で優勝してたんですよ?」
「・・・は!?」
「あれ、知らなかったんですか?」
「くっそー!まんまとしてやられたのか」
「姉さんは隠し事がうまいので、気づかなくても仕方ないかと」
「ははっ・・・そうだよな」
「とりあえず、私達も戻りましょう」
その後、お昼ご飯の時間で優は約束通り奏蘭に奢った。
奏蘭はすごく満足そうな顔をしていたが、反対に優の顔は悲しみに溢れていた。
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