第125話 破天荒な班決め
いよいよ、高校生活最大のメインイベントとも言える行事が始まろうとしていた。
そう、修学旅行だ。今日は修学旅行先の発表と班決めが行われる。
その時間が近づくにつれ、クラスはどんどん賑わっていった。
当然俺達もどんな旅行先になるかについて話し合っていた。
「優くん、今回はどこに決まると思う?」
「そうだな、個人的には沖縄とかがいいな。燐はどうだ?」
「私は・・・京都、ですかね」
「京都!そこもいいね〜、私は北海道がいいなぁ」
「今年はどこになるんだろうな」
「教えてあげよっか?」
そう背後から言って来たのは奏蘭さんだった。
そ、そういえばうちのクラスで実習してるんだった。すっかり忘れてたな。
「どこに行くか知ってるんですか?」
「そりゃもちろん。なにせ、職員会議にいたからね」
「実習生も大変そうだな。それで、どこに決まったんですか?」
「それはね・・・」
「先に言おうとするな」
「あいたっ!」
そう言いながら奏蘭の頭を軽く叩いたのは担任の朝倉先生だ。
まさか三年全部同じ担任になるとは思わなかった。これも何かの縁、なのか?
「よーし、全員いるな。それじゃあ今年の修学旅行の行き先を発表する。今年は、沖縄だ!」
「「うおおおお!!!」」
その瞬間、一気にクラスがざわめき始めた。
沖縄、これはテンションが高くなっても仕方ないよな!!
「お前ら、騒いでるところ悪いんだが班決めするぞ。1グループ6人までだぞ」
そう言うと、みんなが動き始めた。もちろん玲狐やクレア達一直線に。
相変わらず人気だよなぁ。俺が一人でその状況を眺めていた時、隣に奏蘭さんが寄って来た。
「あの子達っていつもあんな感じになるの?」
「えぇ、まぁ見た目は美人ですし人気も高いですから」
「でも、みんな振られていくわね」
「そろそろもう一個面白いものが見れますよ」
奏蘭は優が何を見せようと思っているのかいまいち理解できていなかったのでしばらく眺めていた。
すると、全員を断り終わった玲狐達が一直線に優の元へ向かって来たのだ。
そしてあろうことか、優はクラスの全員に睨みつけられていた。その状況を見た瞬間奏蘭は驚きを隠せなかった。
ここまで睨まれているのになぜ平気なんだろうと、そして面白いものがこれなのかすらわからなかった。
「優くん、一緒に行くよね?」
「もちろん行きますよね?」
「拒否権はないですよ」
「あぁ、分かってたよ・・・」
こうして優の班は一瞬で決まった。
その後はみんな何事も無かったかのように他の人たちと班を組んで行く。
え、あれって振られるまでがワンセットなの???
奏蘭にとって、更にクラスの謎が増えてしまう一日だった。
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