第124話 破天荒な約束
今年も桜が咲き乱れ、道端でも桜の花びらを見る機会が多くなって来ていた。
そろそろ花見にでも行きたいなぁ。でも、一人で行くのも寂しいしどうせなら玲狐でも誘うか。
去年はいろいろあって行けなかったからその分楽しむか。よし、そうと決まったのなら早速玲狐の家に向かうか!
優は家を出て、隣の玲狐の家のチャイムを鳴らした。
「はーい」
「よう、玲狐。これから花見にでも行かないか?」
「うん、行きたい!!ちょっと待ってて、すぐ準備してくるから!」
「わかった」
家の前で待つ事30分、玄関の扉の開く音が聞こえた。どうやら来たみたいだな。
玲狐が手を振りながら小走りでこちらに向かって来た。
「お待たせ!待たせちゃったかな?」
「いや、誘ったのも急だったしこれくらい大丈夫さ。ところで、そのバックには何が入ってるんだ?」
「あぁ、これ?お弁当だよ。場所についても食べるものが無いと困るでしょ?」
「それもそうだな、ありがとうな玲狐」
「ところで、どこでお花見するの?」
「もちろん、あそこしか無いだろ?」
「あ!そうだね!」
道中で玲狐と他愛も無い話をしながら目的の場所へ向かう。
その場所に近付くにつれ、桜の花びらがちらほらと風に流されて来る。
辿り着いたのはいつも玲狐と二人で来る丘の上だ。
そしてそこには変わらず大きな桜が満開で咲いている。
「毎年見ても変わらず綺麗だな」
「うん、そうだね」
「もう俺にとっては春はこうして玲狐と二人で花見に来るのがいちばんの楽しみなんだよな」
「え!?」
「ん、どうかしたか?」
「な、何でも無い!と、とりあえずお弁当でも食べよう!!」
「お、おう」
玲狐があたふたしながらも着々と用意をすませて行く。何というか、玲狐に全ての準備を任せるのも悪いな・・・
そう思っている間に場所のセッテイングが完了していた。慌ててても手際は全く変わらないのか、すごいな。
玲狐は少し落ち着きを取り戻したようで、お弁当箱を俺たちの間に持って来た。
中を開けると、中にはサンドイッチが入っていた。
ツナにたまご、ハムとレタスまで色々種類があるな。どれから食べるか悩みどころだ。
真剣に悩んでいる俺を見て、なぜか玲狐が微笑んでいた。・・・よし、最初はたまごにしよう!
桜を見ながら食べるサンドイッチ。うん、中々良いな。
サンドイッチを食べ進めていると、玲狐がサンドイッチを食べる手を止めた。
「ねぇ、今年で私達卒業するでしょう?」
「あぁ、そうだな。あっという間だったな」
「その時にさ、またここで二人で集まらない?」
「おう、良いぜ!」
「ありがとう、優くん」
「でも、何するんだ?」
「それはその時までの秘密だよ」
そう言うと玲狐は再びサンドイッチを食べ始めた。
卒業式の後、ここで何かやってるのか?よくわからないが楽しみにしておこう。
お読みいただきありがとうございました。