第123話 破天荒な教育実習
教育実習生として入って来た奏蘭さん。みんなは美人な先生が来たと喜んでいたが、こちらはそれどころでは無かった。
奏蘭さんが登壇したと思ったら横で燐が倒れ込んでしまった。・・・まぁなんと言うか、気持ちはわかる。
そのまま放置するわけにも行かないので、俺は急いで燐を保健室へ運んだ。
保健室に入ると、先生が留守だったのでとりあえず燐をベットに寝かせた。
それにしても、まさか奏蘭さんが教育実習生だったとはな。事前に聞かされてなかったんじゃここまで驚くのも無理ないな。
とりあえず起きるまではそばに居てやるかと思っていた時、保健室のドアが開いた。
「あれ、優くんだけか。どう、今日は驚いたかな?」
「驚きましたよ。そのお陰で燐は倒れちゃいましたけど」
「あちゃー、先に言っておくべきだったわね」
「・・・ここは?」
「お、気がついたか燐」
「私は始業式の進行をしていて、それから・・・・そうだ!姉さんは居ませんよね?」
「ん?私がどうかした?」
「い、いる・・・え、優さんこれは現実、ですか?」
「あぁ、残念ながら現実だ」
「ちょっと、残念ながらってなによ」
起き上がった燐は再び大きなため息をつきながら布団に顔を埋めた。そこまでしないと信じられないのか。
少し時間が経って落ち着いたのか、燐はいつものように冷静を取り戻していた。
「それで、どうして姉さんが教育実習生に?」
「いや、それがね今の仕事ってあくまで璃亜ちゃんの付き添いみたいなものだからあんまりやることが無いのよね。だからその隙間時間を利用して学校に行ってたらいつの間にか実習の時期になってたのよ。私もすっかり忘れててね」
「もう少し後に思い出して欲しかったわ・・・」
「あー、そういえば来月修学旅行だもんね。楽しみだなぁ」
「姉さんと一緒なんて考えもしてなかったわ」
「まぁまぁ、せっかくなんだしさ、一緒に楽しも」
奏蘭さんが何かを言いかけたその時、保健室のドアが勢いよく開いた。
そこに立っていたのは息を切らしながらドアをつかんでいる姉の姿だった。
「奏蘭、見つけたわよ」
「ね、姉さん!?」
「優、大丈夫!?奏蘭に変なことされてない?」
「だ、大丈夫だって・・・」
「そう、なら良かったわ。・・・所で奏蘭、何の話もなしに学校に来てるのはどう言うことかしら?」
「え、えっとみんなを驚かせたくて」
「言い訳しない!今日は帰るよ!」
「ゆ、優くん、燐ちゃん助けて!!」
「姉さん、後は任せた」
「うちの駄目姉をよろしくお願いします」
「ふ、二人の薄情者ー!!」
その後の燐の情報によると、奏蘭さんが帰って来た時には神はボサボサで服も多少乱れていたとのことだった。
ちなみに奏蘭さんは本当に三ヶ月間俺達の通ってる学校で実習をするらしい。
それにしても姉さん、服が乱れてたなんて一体なにをやったんだ・・・
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