第121話 破天荒なクラス
短い春休みも終わり、いよいよ新学期が始まろうとしていた。
いつもより少し早く家から出ると、家の前にはまだ誰もいなかった。
俺も今年で三年生、生徒会会長にもなった訳だしより一層気を引き締めていかないとな。
だが、楽しみもある。なにせ今年は修学旅行があるからな!
クラスも仲がいい人が集まるといいんだけどな。っと、玲狐が来たみたいだな。
「おはよう、優くん。今日は早いね」
「まぁな。燐はまだなのか?」
「私なら後ろに」
「うおっ!?い、いつから後ろに・・・」
「優さんが出て来た時ですね」
「いたんなら声かけてくれよ」
「そういえば私達、今年は同じクラスになれるかな」
「どうだろうな、今までは誰かが一人別のクラスに居たけど」
「今年は修学旅行もあるし、三人一緒がいいなって」
「それは俺も思ってた」
「だよね!」
「奇遇ですね、私もです」
「よし、早速今から確認しに行こう!!」
そう言うと玲狐は足早に学校へと向かった。俺と燐は二人で歩きながら玲狐の後を追いかけた。
歩き続けること数分玲狐が違和感を抱き、後ろを振り返ると優達とだいぶ距離が離れてしまっている事が発覚した。
しかも、二人は何やら楽しそうに会話を続けながらこちらに向かって来ている。
私だって優くんと喋りたい!そう思った玲狐は優達の元へ駆け寄って行った。
「二人とも遅いよ!」
「あぁ、悪い悪い。玲狐が早く行きすぎるもんだからさ」
「先に行ってても良かったんですよ?」
「私はみんなで一緒に行きたいの!」
「でも始めに距離を離したのは玲狐じゃ・・・」
「優さん、それを言ってはダメですよ」
「お、おう」
そのまま歩き続けること数分、学校に着くと既に校内は人で溢れていた。
この前より少し来る時間を変えたとはいえ、生徒の人数はあまり変わらないな。
まぁ、人がいくらかいなくなったら見に行こう・・・って、燐がいない。
「なぁ玲狐、燐知らないか?」
「燐ちゃん?燐ちゃんなら今あそこだよ」
そう言いながら玲子が指を刺したのは目の前に映る人だかりだった。
「え、あいつはまさかあの人混みの中に?」
「うん。でも、すぐ戻って来るとか言ってたけど」
「いや、あれは行くのも戻って来るのも難しいだろ・・・」
「ただいま戻りました」
「あ、燐ちゃんおかえり」
「クラスの名簿を写真に収めて来ましたので確認してください」
「お前、本当に行ってたのか」
「これくらいなら余裕です」
「あ、見てみて!三人とも同じクラスだよ!」
「お、クレアと結衣もいるじゃんか」
「結構知り合いが多いクラスですよね」
「これで担任も変わらなかったら面白いけどな」
「それはさすがにないんじゃないかな〜」
「いや、あるかもしれん」
「私は優さんと同じ意見で」
「燐ちゃんはこっち側じゃないの!?」
「諦めてお前も俺に乗っかれよ」
「ぐ、ぐぬぬ・・・もし間違ってたらスイーツ奢ってもらうからね!!」
「あぁいいぜ」
「では私はモナカで」
「いや、お前はこっち側だろ!?」
「はっ!す、すみませんつい食べたくなってしまって」
「・・・しょうがないな、帰りにコンビニ寄って買って行こうぜ」
「優さん!」
「私はパフェがいいな〜」
「それじゃ、早速行こうか」
「はい!」
「ち、ちょっと待ってよー!無視しないでってばー!」
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