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第118話 破天荒なサプライズ

決行当日の朝、何も知らない姉さんは部屋でテレビを見ていた。

よし、今のところは何も感づいてなさそうだな。今のうちに連れ出しておくか。


「おはよう、姉さん」

「あれ、優。おはよう、珍しく早いわね」

「たまたま目が覚めてさ、それよりも少し出掛けないか?」

「・・・え?私に言ってるの?」

「もちろん」

「優、今ならお姉ちゃん怒らないから正直に白状しなさい」

「は!?何の事だよ!」

「だって、何の用事も無いのに優がお姉ちゃんを誘って来るなんてなかったもん!あ、それかドッキリを仕掛けようとしてるとか?」

「い、いやそんな事一言も言ってないだろ!・・・で、行くのか?行かないのか?」

「ドッキリだったとしても、優とデートができるならデートを選ぶに決まってるじゃない!」

「それじゃあさっさと行こうぜ」


姉さんと二人で向かった先は、家の近くの喫茶店だ。

そこで姉さんとコーヒーを飲みながら、みんなからの連絡を待つ。

数十分後、姉さんと話し込んでいるときにメールが届いた。どうやら第一段階のセッティングができたみたいだ。


「あら、誰から?」

「あぁ、玲狐だよ」

「お姉ちゃんとデートしてるのに他の女の子の名前を出すのは感心しないなぁ・・・」

「ご、ごめん」

「仕方ないわねぇ、特別に許してあげる」

「よ、良かったぁ。さ、姉さん次の場所に行くよ」

「次?」

「あぁ、姉さんこの映画見たいって言ってたろ?時間もちょうどいいしな」

「優、あなた本当にどうしちゃったの!?」

「な、何だよ。せっかく日々の疲れを取ってやろうとしてるのに」

「あぁ、もう何が来ても構わないわ。私、今最高に幸せだわ・・・」

「たかがこれくらいで喜びすぎだって・・・」


ウキウキの姉さんを連れて映画館に到着した。

そのタイミングで一旦トイレに行くと嘘をつき、近くにいる燐と合流した。


「この映画が終わる頃には準備できそうか?」

「えぇ、バッチリです」

「わかった、ありがとう」

「それにしても、開始数分でドッキリ疑われましたね」

「昔から姉さんの感は鋭いからなぁ」

「気をつけてくださいね」

「わかってるって」


燐と別れた後、姉さんの元へ走って戻った。トイレが混んでたといえば、疑いはされなくなる。

姉さんには知り得ない情報だからな。

その後は売店で飲み物とポップコーンを買ってホールへ向かった。

それにしてもこれ、俺が見ても理解できるか?恋愛映画なんて初めて見るんだが・・・

結果から言うと、最高だった。あそこまで完成度の高い映画は久しぶりに見たな。

思わず原作小説も買ってしまった。どうやら来年には続編もやるらしい。

・・・っは!そうだ、そんなことを呑気に考えている場合じゃなかった!

燐からはもう準備ができたと言うメールが来ている。よし、なら最後の仕上げだな。


「いやー、今日は楽しかったわ。ありがとう、優」

「何言ってるんだ、姉さん。お楽しみはこれからだぞ?」


そう言った後、優は携帯を取り出し、何処かへ電話をかけ始めた。

それから数分後、見覚えのあるリムジンが目の前に停まった。


「さ、姉さん早く乗って。会場に行こう」

「え、なに、会場?」

「ほら、早く」


姉さんを半ば強引に車に乗せ、そのまま発進してもらった。

姉さんはまだ困惑しているようだが、まぁこっちの方が都合がいいな。

およそ十分車を走らせ、高級ホテルに辿り着いた。


「着いたよ、姉さん」

「え、ここ・・・え?」

「姉さん混乱しすぎだって、ほら一緒に行こうぜ」


姉さんの手を掴み、そのままホテルへ入って行く。受付を通り抜け、そのまま奥のホールへ向かった。

ホールの扉を二回ノックした後、思いっきり扉を開けた。

そしてその瞬間、クラッカーの音があちこちから聞こえてきた。

姉さんが余計に混乱しだしてしまった。俺は笑いをこらえきれず、吹き出してしまった。

どうやら本当に気づいてないみたいだな。しょうがない、ネタバラシするか。


「姉さん、今日が何の日か分かってるか?」

「き、今日?今日は3月6日よね・・・あ」

「やっと気づいたか、そう言うことだよ。誕生日おめでとう、姉さん」

お読みいただきありがとうございました。

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