第11話 最終確認でも破天荒
「そういえばリレー1年生だけ全員参加だったらしいけど燐ちゃん知ってた?」
「もちろん、今日決めましたから。」
「私たちのクラスそのこと先生が忘れててさ、今決めてるんだー」
「わ、忘れてたって・・・」
「まぁ、先生だって忙しかったんだろう」
「それもそうね」
ふと時間が気になり時間を確認する、すると携帯には18時と表示されていた。
それと美玖からの大量のメールも
見るのが怖いからこのままにしておこう。
「悪い、俺そろそろ帰るわ」
「じゃあ私達も帰りましょうか」
「そうだね。燐ちゃん、優くん。また明日ね」
「えぇ、また明日」
その後家に帰った時美玖に怒られました。
怒られた1番の理由がメール無視だったことは言うまでもない。
そして迎えた体育祭前日。
俺たち実行委員はいつもより早めに登校している。
その理由は明日行われる体育祭への準備のためだ。
と言っても本格的な準備は放課後で今からやるのは会長達が全ての係の活動内容をチェックすることだ。
足りない部分がないか、危ないところは無いかなどの簡単なチェックだ。
「それじゃあはじめに準備運動の班の人、持ってきてー」
会長に呼ばれレンが進もうとしているところを少し引き止め、俺はレンに昨日の話し合いのことをまとめたノートを手渡す。
「これに昨日話し合ったことがまとめてあるからこれを渡しておいてくれ」
「おう、わかったぜ」
そうしてレンは再び会長達の元へと向かった。
「これが俺達の班の考えた案です。」
「うん、ありがとう。このノートに全部書かれてるんだね?」
「それでは確認しますので少々お待ちください」
そうして会長達による厳正な審査が始まった。
会長がパラパラとページをめくり、その後からページを副会長が眺めている。
そして最後のページまでいったのかノートを閉じる。
そして二人で少し話し合ったあと結果が出た。
「うん、危険もなさそうだし大丈夫だよ。ただ一つ問題があるとしたら、この二人組で行う準備運動の二人組ってどうするの?結構時間かかりそうだけど」
「そこの点はご心配なく、全学年共通で行われる二人三脚を組む相手とやるんです。そうすれば時間も取らずそのまま行えます。」
「なるほど、確かにそれなら問題はありませんね」
「それじゃあこの内容は正式決定で!当日は期待してるよー」
「はい、頑張ります!」
「それじゃあ次の班の人ー」
会長達のチェックを終え、レンが戻ってきた。
「レ、レンくん。お、お疲れ様・・・」
「お疲れ様、どうだった?」
「おう!すげぇ緊張したけどOKは貰えたぞ」
「良かったー、じゃあ後は放課後の準備だけだね!」
「あ、終わった班から教室に戻っていいよー」
「だそうだ、それじゃあ行くか」
「あ、優くん。待ってよー」
「よし、彩。俺達も行こうぜ!」
「う、うん」
教室に着くとクラスメイトがほぼ全員揃っていた。そして、前に張り出されている紙を見ていた。
ここだとよく見えないので近くにいたクレアに聞くことにした。
「よう、これは一体なんの騒ぎだ?」
「あ、優くん!おはよう。これはリレーの順番表をみんな確認してるの」
「あー、そういや昨日でき次第メールで送るって委員長言ってた気がするんだが」
「走順決まったらもう遅いからって帰らされたみたいで、で先生がメールすることになってたんだけどそれを忘れてたみたいで」
「で、その肝心の委員長は?」
「職員室にいるよ。先生問い詰めてるみたい」
「先生も災難だな。まぁこれは自業自得だろうがな」
「なぁクレア、俺がどこに決まってるかってわかるか?」
「もちろん!あなたはアンカーよ」
「なるほど、俺がアンカーか・・・ん?俺がアンカー?」
「そうだよ、そしてその前が委員長だよ」
「委員長からバトン受け取るのか、ちゃんと受け取れるかな」
「クレアさん、私は?」
「あなたは私の前よ。そして私の次が委員長。」
「じゃあ私達がちょうど最後の四人なんだね!」
「ある意味すごいな、こうやって固まるなんて」
「まぁいいじゃん!」
「それもそうね」
話を終えた時に教室のドアが開く。そして委員長と若干疲れ気味の先生が出てきた。
先生は重い足取りで教卓に立った。そして
「今回は私のミスでリレーの走順を勝手に決めてしまって申し訳ない!本来であれば昨日決めてあるはずがうっかり寝てしまって気づかなかったんだ。」
「全く、呆れた先生です。」
「面目ない・・・」
「もういいですから、私が先に進めますよ。」
「はい、そうしてください。」
先生よっぽど堪えてるな・・・あいつホントに何をしたんだ?
「皆さんはもうこの紙で確認しましたね。リレーの順番はこれで行きます。近くの順番の人でグループを作ってそこでバトンを回す練習をしましょう」
そうしてそれぞれ4、5人のグループに分かれ練習が始まった。
「はい、クレアさん」
「委員長!」
「ゆ、優くん・・・きゃっ」
「うわっと・・・危ねぇ」
「ご、ごめんなさい」
「いや、大丈夫だって」
その後2、3回ほどやり授業へと戻った。
今日は明日の事もあるので午前中で終わる日だ。
本当なら出かけたかったんだが実行委員は明日の準備があるためしばらくは残っていないといけない。
全ての授業を終え、玲狐と共にグラウンドへと向かう。
そこでは既にほかの人達が作業に取り掛かっていたのでそのまま俺達は参加した。
入場門の設置、コーナーごとのコーンおき、小道具の配置などを指示のもと着々とこなしていく。
みんなで協力してやったので以外にも早く終わった。
そして会長が集合をかけたのでみんなで集まった。
「明日はいよいよ本番です、絶対に成功させましょう!」
その会長の掛け声でみんな気合が入る、いよいよ体育祭が始まる。
そして陰に隠れて小さな戦いも始まろうとしていた。
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