第112話 破天荒な二人
朝、璃亜は優のベッドで目覚めた。優を起こさないようそっと布団から抜け出し、時間を確認する。
時刻は6時過ぎで既に下のリビングからは声が聞こえる。手早く着替えを済ませ、リビングへ降りて行く。
「おはよ〜」
「おはよう、お姉ちゃん」
「優はまだ寝てるの?」
「うん、もうしばらく起きそうにないかな」
「ねぇ、お兄ちゃん起こして来ていい?」
「多分起こしても起きないわよ」
「そうね、まだ起きては来ないでしょうね」
優のことを話しながらみんなで朝食を食べる。優はどうせ起きて来ないから別のものが用意されている。
普通の朝食もいいけどたまには優のも食べてみたいかも、遅く起きれば食べれるかしら?
朝食を食べ終えると七海と美玖は学校へ、母さんは家事をしに戻る。私はというと・・・部屋に戻って二度寝をする。
朝早くに起きても仕事があるわけでも無いし予定も入ってないからお昼近くまで寝て過ごす。
私が布団に入ってから少し時間が経つと、優の目覚まし時計が鳴り始める。
最近は寒いのか二度寝をしそうになってるみたいだけど、その度に燐ちゃんがどこからともなく現れては優を起こして行く。
優もそうなると観念してリビングへ降りて行く。優がリビングに居る間は燐ちゃんがこの部屋で待機してるわけなんだけど・・・この先は言わないでおきましょう。
お昼ちょっと手前くらいの時間に二度寝から目覚めた。これくらいの時間になると携帯に連絡が入っていたりする。
あ、奏蘭からも連絡来てるじゃん、珍しい。ちょうど暇してたし、今から行きましょう。
部屋着から外出用の服に着替えてから外に出ると、既に奏蘭が家の前で待っていた。
「あ、やっぱりいたわね」
「ん、何がかしら?」
「なんでもないわよ、それより今日はどこに行くのよ」
「今日は商店街で見つけたところに行こうかなって」
「へー、どんな所か楽しみだわ」
二人が向かった先は商店街を出て、その先にひっそりとある喫茶店だった。
ここは以前に奏蘭が仕事中にたまたま寄ったらしく、その時にこのお店のコーヒーを飲んだらあまりの美味しさに驚き、それを私にも勧めたかったみたいだ。
奏蘭が絶賛するコーヒー、どんなものなのか気になって仕方がなかったが、もう一つ目的があった。それは・・・
「お待たせしました、ホットコーヒーとジャンボパフェになります」
そう、とても大きなパフェだ。普通のパフェ5個分くらいは容易に入っているだろう。
見てるだけでもパフェから出てくる威圧感が半端ではない。
「すごーい!!大きすぎじゃない!?」
「前に来た時食べたかったんだけど一人じゃ無理そうだから今日呼んだのよ〜」
「た、確かにこれを一人で食べ切るのってのはきつそうね・・・」
「さ、早く食べましょ」
奏蘭が早速パフェに手を伸ばした。私は反対側の方からパフェを食べ進めていった。
うん、パフェ自体はとっても美味しい。中身もいろいろな味のアイスが入っていたりフルーツが乗っていたりで味変をしながら食べていける。
しかし、こう冷たいのを食べて行くと口の中が冷えてくるわね。
そういう時こそホットコーヒーよね。はぁ、この苦味確かにクセになるわね。
パフェで甘くなった口もリセットしてくれるし、これならパフェを食べ切れるかもしれないわ!
数十分後、見事に二人でジャンボパフェを完食したのだが、二人は机に突っ伏していた。
「す、すごい量だったわね・・・」
「私今日夜食べなくてもいい気がして来たわ・・・」
「わ、私も・・・」
ジャンボパフェを完食してから、数分間身動きが取れず幾らか気分が楽になった時には二人ともコーヒーのおかわりを頼んでいた。
コーヒーを飲んでホッと一息ついたところで母さんからメールが届いた。バニラとチョコがセットになった箱アイスを買って来て欲しいと頼まれていた。こんな時期にアイスを使うなんて珍しいことをするわね、一体何を作るのかしら。
箱アイスを買って帰り、母さんに渡すと既に人数分の容器が準備されていた。
「ねぇ、今から何作るの?」
「パフェよ、急に食べたくなっちゃって。あなたも好きでしょ?」
「・・・あー、私今日はいいや。夜ご飯もいらない」
「あら、珍しいわね。熱でもあるの?」
「いや、そうじゃなくてさっき大量に食べて来たっていうか・・・まぁ、とにかく大丈夫だからさ。私お風呂行ってくるね」
うー、まさかパフェ作ろうとしてたとは。
なんというか、暫くはパフェ食べなくてもいいわね。あと、頼むとしても普通のサイズが一番だわ。
とりあえず今日はもうお風呂入って寝よう。
お読みいただきありがとうございました。