第111話 破天荒な志望校
今日は三年生のセンター試験日だった。そのためかいつもより校内にいる人が少ない気がする。
先に受験を終わらせた人などはそもそもあまり来ていないってのもあるが・・・
来年、俺達もやる事になるんだよな受験・・・
そう思うと、今後の自分が心配になって来てしまった。って、いかんいかんそんな事を考えるな。今は生徒会の仕事に集中しろ。
・・・そうだ、別の事をすれば気も紛らわせるだろう。俺は席を立ちお茶を取りに行こうとしたが、既にお茶は机の上に置かれていた。
いや、タイミング良すぎないか?ありがたいけど。ま、まぁとりあえず休憩にしよう。
俺がお茶を飲んで休憩しているのを察すると即座に玲狐がこちらに寄って来た。
「ねぇねぇ、優くんはどこの大学受けるの?」
「唐突だな。でも、そうだな・・・俺は父さんが通っていた大学にするか別のところにするかで迷ってるんだよな」
「へー、二つの学校で迷ってるんだね」
「あぁ。父さんの通っていた大学も興味があるんだが、もう片方の大学も捨て難い。そういう玲狐はどうなんだ?」
「私?私はまだ決まってない、かな」
「決めてない俺が言うのもなんだが、早めに決めておいた方がいいぞ」
「そうだよね、うん」
「そう言えば優さん以前、大学に誘われてませんでしたか?」
「燐、お前よく知ってるな・・・そうだよ、そこと迷ってるんだよ」
「気に入られたのですか?」
「正直あそこに行けば何かが掴める気がするんだよな」
「そうですね、色々と実験も出来そうですし。ちなみに、私はそこを受けますよ」
「え、そうなのか?」
「はい、以前から興味があったので」
「なるほどなぁ・・・」
「そんなにすごい所なの?」
「あぁ、何なら今度行くか?」
「うん、行ってみたい!」
「じゃあ姉さんに頼んでみるよ。っと、そろそろ仕事に戻らないとな。さっさと終わらせて帰ろうぜ」
玲狐達が持ち場に戻った後、再び優は考え込んでいた。一体、どこに行くのが自分に合ってるのだろうか。
自分と合わないところに行ってしまってはその後の四年間が全て意味のないものになってしまう。
行くのであればやはり学校生活も充実したものにしたい。なら、行くところは一つなんじゃないのか?
自ずと自分の心の中で答えがまとまっていった。さっきの燐の発言も関係あるのだろうが、迷いは払拭できた気がする。
そうと決まれば、行動に移すしかないよな。
幸い知り合いにその大学に通っている人がいるしな、その人の話を聞いたりしよう。後は亜衣さんもだな。
亜衣さんは既に推薦で合格をもらっているし、たまに生徒会に顔を出しにきて数分後には帰って行く。
もしかして相当暇を持て余してるのでは・・・?
実際そんな感じな気がするし、どうせなら亜衣さんにも協力してもらうか。
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