第110話 破天荒な吹雪
短かった冬休みが終わり、今日からまた学校が始まる。
二週間も休んでいれば学校に行く気が無くなり、布団にくるまっていたくなる。
しかし、そんな事は美玖の手によって終わりを迎える。布団を剥ぎ取られてしまってはもう寒さに震えるしかない。
布団を思いっきり剥がしていくなんて、優しさのかけらも無い!
「もう、お兄ちゃん。いつまでベッドの上で震えてるの!」
「お前が布団を返してくれるまで・・・」
「そんなバカなこと言ってないで早く着替えてよ!今日から学校だよ」
「わかったわかった、ちゃんと起きるから」
仕方なくベットから降り、リビングへ向かう。なんか今日はやけに冷えるな、朝だからか?
リビングに着くと、テレビでは吹雪の映像中継が写っていた。
おぉ、こんなに吹雪いてる所があるのか大変だなぁ。
そういえば今日の外の様子はどうだろうか、雪が無くなってると良いんだがな。
優がベランダの窓から外を覗いてみた。すると、外は吹雪が吹いており、辺り一面雪景色になっていた。
一旦近くのソファに座り、今の状況を把握した。
そう、吹雪の様子が映像中継されているエリアがまさにここなのだ。
これだと外に出るのも一苦労しそうだな。こんな時は家でゆっくりしてお茶を飲むのが一番・・・いや、今日学校じゃないか!
今日くらいは休みだよな?恐る恐る携帯のメールボックスを確認した。
しかし、学校からは何一つ連絡は届いていなかった。という事は、いつも通りの登校か。
この寒い中歩いて行くのか・・・せめて家を出る時には降ってませんように!
数分後、朝食を食べ終え身支度もしたところで勇気を出して玄関のドアを開けた。
吹雪は・・・ない!玲狐と燐も丁度同じタイミングで出て来た。
「おはようございます」
「おはよう、燐、それに玲狐も」
「いやぁ、吹雪止んでてよかった〜」
「それもそうだな」
「それに関しては同意ですね」
「でも、行きは止んだけど帰りにまた吹雪来たりしてね」
「おいおい、あまりそんな事言うなよな」
「えー、でもありそうじゃない?」
「俺は無いにかける!だからこのまま先に行かせてもらうぜ!」
「あ、待ってよー優くん!」
放課後生徒会の仕事を終えて帰宅しようとした時、再び吹雪が起きていた。
朝に冗談で話してたことが現実になってしまった。しかも生徒会のメンバー全員残ってるし、ここはみんなの迎えが来るまで待つしか・・・
そんな時、優の携帯に電話が入って来た。
『あ、生徒会もう終わった?』
「終わったけど、吹雪が凄くて帰るに帰れないんだよ」
『そう、じゃあちょっと待ってて。今からそっちに迎えに行くから』
「本当か!?助かる!」
姉さんの車を待つ事五分、校内に一台の車が入って来た。間違いなく姉さんの車だ。
しかもメンバー全員が乗れるように普段置いてある荷物も家におろしてるし、温かいお茶が人数分用意されてる。
一時は吹雪が止むまで校内に残ってることを覚悟してたけど、姉さんのおかげでみんな無事に帰れそうだ。
今日の姉さんは最高にかっこよかったよ、俺もいつかは姉さんみたいになれるかな。
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