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第108話 破天荒な初日の出

今年も残すところ後一日か、あっという間だったなぁ。この一年、本当に色々あったな。

まさか俺が生徒会長になるなんて思ってもなかったし、生徒会に選ばれたのだって奇跡的なのに、会長にまでなれたんだもんな。

うん、今年は本当に頑張った。だから、大晦日くらいゆっくりしよう。

そう自分に言い聞かせてコタツに入った。はぁ、あったかい。もう動きたくない・・・

机の上のみかんに手を伸ばした瞬間、突然部屋の扉が開いた。


「優さん、お掃除しますよ」

「り、燐!?お前またどうして俺の家に」

「おば様から、どうせ優は掃除もせずコタツに入ってそうだからかわりにやってあげて。と言われたので」

「あ、あぁ、そうか。なんか悪いな」

「いえ、別に構いませんよ。とりあえず優さんは外に出てくださいね、終わったら呼びますので」

「じゃ、下に行くか。・・・おい」

「何ですか?」

「どうしてこっちにコタツを渡さない」

「これも掃除しますので」

「これはしなくていいから、返してくれ」

「いいえ、これもさせていただきます」

「離せよ、これは俺のだ・・・」

「はぁ、穏便に済ませたかったのですが仕方ありません」


燐は一度コタツから手を離すと、階段のところに立ち止まり息を吸った。

何だ、こいつ何をする気なんだ・・・


「玲狐、優さんがあなたとデートしたいそうですよ!!」

「え、本当!?」

「げっ玲狐、お前下に居たのか!?」


完全に誤算だった、家に来ているのは燐だけだと錯覚していた。

くそっ、これじゃあ玲狐に連行される!って、しまった!コタツがもう無い!!


「はい、優さん。お財布とカバンですよ」

「あ、おい!ちょっとま・・・」

「さ、優くん。デートしに行くよ!」

「お、おい!玲狐、今は違うって・・・!」

「デート、デート、優くんとデート!」

「こ、こいつ、人の話聞いてねぇ!!」


玲狐が優の手を引っ張りながら階段を降りて、そのまま家を出て行った。

その様子を燐は階段の上で手を振って見送っていた。


「・・・行きましたね。さて、優さんが帰ってくるまでに仕上げなくては」


玲狐に連行される事五時間、優はヘトヘトになって帰って来た。反対に玲狐はとても満足げな様子だった。

それを見た燐は即座に優の元へ駆け寄った。


「優さん、お疲れ様でした」

「お前、この事は忘れないからな・・・」

「別に構いませんよ。それよりも、お部屋の事ですが掃除はもう終わってますのでコタツにはいつでも入れますよ」

「それを早く言えよ!!もちろん、あれはあるんだよな?」

「みかんならちゃんと用意してありますよ」

「前言撤回だ、やっぱり燐は最高だ」

「ありがとうございます」

「どうだ燐、お前も俺の部屋に来るか?」

「いえ、私はこれから夕飯の支度がありますので」

「そうか、今日はありがとうな」


優は燐にお礼を言うと、駆け足で自分の部屋に向かって行った。

これでまたコタツライフが楽しめる、そう考えていたがコタツには既に姉さんが入っていた。

そして、コタツの上に置かれている大量のミカンの残骸。ま、まさか・・・


「あ、優。遅かったわね。待ってる間暇だったから食べてたらみかん無くなっちゃった」

「ね、姉さんのばかやろおおおお!!!!」

「ご、ごめんって。お詫びに良い所に連れて行くから」

「・・・どこだよ」

「それは朝方になってからのお楽しみ」


夜中、姉さんに起こされたかと思えば、そのまま車に乗せられ車は走り出した。

寝ぼけてて気づかなかったが、母さん達みんないるんだな。

こんな夜中に家族みんなで行く場所って、一体何があるんだ?

姉さんが車を走らせること二時間、とある浜辺に着いた。・・・ん?やけにここは人が多いな。何かやるのか?

姉さんに何があるか聞いても待ってれば分かるとしか言われなかった。

数分待ってみると、海から太陽が昇り始めた。そうか、初日の出か。これを生で見られるとはな・・・

なるほど、これは確かに良いものだ、新年から縁起がいい。

今年は、去年よりももっと良い年になって欲しいな。

お読みいただきありがとうございました。

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