第107話 破天荒な冬休み
冬休み、それは夏休みよりも短いがそこそこ長い休みの日。去年までの俺なら部屋で布団に包まりながら本を読んでいたりしていただろう。
しかし、今年の俺は一味違う。なぜなら、この前コタツを買ったからだ!
そのコタツに入りながら勉強をし、集中を高めて宿題もささっと終わらせて残りの日はコタツでゆっくりくつろぐ。
そんな事が実際に再現できたら良かったんだがな・・・
冬休みが始まってから一週間が経った今日、俺はコタツの上に置かれた宿題と睨み合っていた。
夏休みや冬休みなどがある時に切っても切れない関係にあるもの、それが宿題だ。
そもそも何故休みなのに宿題をしなければならないのか、ずっと疑問だった。
別にやらなくてもいいんじゃ無いか、俺はずっとそう思っていたが、何かを考えたところでやることは何も変わらないため仕方なく宿題に手を伸ばした。
しかし、宿題をしていても集中を削がれる時がある。例えば・・・
「こったつ、こったつ〜。あれ、優何してんの?宿題?」
姉が部屋に入って来るとかな。うちの姉は何故だかいつも来るタイミングが悪い。
今この状況だってそうだ、人が宿題をし始めた時に何故、アイスを持って来るんだ。
あ、俺の分もある。って、俺の正面に座るな。よりアイスの主張が激しく・・・
「宿題してるんなら後での方がいいわよね。冷蔵庫に戻しに・・・」
「いや、せっかく持って来てくれたのに戻るとか手間を取らせるのも悪いし、今食べるよ」
「そう、じゃあ私チョコ食べるから、バニラあげるわ」
「ありがとう、姉さん」
ああああ、やってしまったぁ。ここで断れば良かったのに・・・アイスの魔力には、勝てなかった。
くそっ、まだちょっとしか進んでない!とりあえずこれを食べたら頑張ろう、そうしよう。
あー、アイス美味いなぁ。コタツはあったかいし、最高じゃないか。
でも、こうなるとみかんも食べたくなるな。・・・っは!いかんいかん、俺は宿題をやらないと。
みかんを食べたい気持ちを抑えつつ、宿題をしていると部屋のドアがノックされた。
「優〜、お茶淹れたわよ。ってあら、璃亜もいたのね」
「あ、お母さん。お先してま〜す」
「あら優、宿題してたのね。それならちょうど良かったわ。勉強は中断して、休憩にみかんでも食べない?」
「食べる食べる〜!」
「はいはい。璃亜の分もちゃんとあるから、焦らないの」
「いやぁ、みかんちょうど食べたかったんだよね〜」
「あら、そうなの?じゃあタイミングが良かったのね」
いやいや、タイミング超悪いよ。俺数分前に宿題再開したばっか。
ずっとやってたわけじゃ無いんだよ。だから母さんを騙しているようですごい申し訳ないんだが。
正直、今宿題をやっていなかったら姉さんのようなテンションでみかんを貰っていただろう。
まぁでも、せっかく貰ったんだし食べないわけにはいかないよな。
うん、この後集中してやればいんだ。母さんも休憩って言ってたし許されるよな。
その後優は、みかんを食べた後宿題に取り組んでいたのだが、クッキーやチョコを差し入れに持って来た燐が来た時に
「あ、今日は宿題できないな」
と、悟ってしまった。
結局優はあまり宿題を進めることができず、コタツに入りながら四人でのんびりしていた。
次の日、あまりの宿題の進んでなさに優は絶望し、その日はコタツに入るのを我慢しながら宿題に取り組んでいた。
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