第104話 破天荒な後継者
文化祭を終え、生徒会の仕事も気がつけば明日で最後になっていた。
俺達は次の生徒会の人達が困らないよう、仕事の説明や書類の整理の仕方などを書き記していた。
これが完成したら生徒会の顧問の先生に託して、生徒会最後の仕事が終了だ。
後は正式なメンバーが決まれば俺達は生徒会役員卒業となる。
次の生徒会のメンバーを決めているのは会長である亜衣さんなので、詳しい事は知らされていないが亜衣さんが選ぶ人達だし信頼できそうだ。
そこで俺は完全に油断していた。帰る直前、亜衣さんに呼び止められたのだ。
どうやら用があるらしいので、そのまま亜衣さんに着いて行く事になったのだが、何故生徒会室に・・・まさか
「あのね、優さんに私の後を継いで生徒会会長をやってもらいたいの」
「俺がですか!?」
「そう、優さんにお願いしたい」
「お、俺に務まりますかね・・・」
「大丈夫!この一年間一緒にやって来たんだし、それも踏まえた上で君を選んだんだから。それに、お姉ちゃんからも頼まれてたし」
「里奈さんに、ですか?」
「そうよ。前生徒会長からの推薦もあるんだし、優さんならきっとやれるわ!」
「・・・分かりました、俺も覚悟決めます!」
「じゃ、決定だね!後のメンバーは来週知らせるから」
「分かりました」
「私はまだやる事があるから、学校に残ってるけど・・・どうする?優さんも来る?」
「お邪魔じゃなければ、ですけど」
「私は大丈夫だよ。それじゃあ、行こっか」
「あの、何するんですか?」
「残りのメンバーの所に行くのよ」
そういうと亜衣さんは生徒会室を出た。
残りのメンバーも既に決まっているって事でいいんだよな?亜衣さんに着いて行くと、グラウンドに到着した。
ここに次期生徒会のメンバーがいるのか、誰なのか考えているうちに亜衣さんが遠くに座っている選手の元へ駆け寄って行った。
遠いから誰なのか全く見分けがつかないな、一体誰なのだろうか。
お、亜衣さんが戻って来た。一緒にいる人は・・・え、美玖?
「あ、お兄ちゃん!!」
「というわけで次の書記候補、美玖ちゃんです!」
「え、これ嘘じゃないですよね?」
「ちゃんと考えた結果だよ」
「え、私も生徒会のメンバーになるんですか?」
「そうだよ」
「私は部活に集中したいんですけど・・・それとお兄ちゃんに何の関係が?」
「俺が次期会長になるからだ」
「生徒会の仕事、喜んで引き受けさせてもらいます!!」
「変わり身早いなぁ・・・」
「お兄ちゃんがいるならどっちも頑張れそうだしね!」
「やっぱり優さんを会長にするのは正解だったわ!!」
「・・・俺を会長にした理由、他にありますよね?」
「そ、そんな事はないわよ?」
「いいですよ、言わなくても」
「え?そ、そう」
美玖を生徒会にスカウトした後、まだスカウトを続けるのかと思っていたがどうやら他の人達は帰っているらしいので今日はここで解散した。
その後、姉に迎えに来てもらい里奈さん達のいる大学に向かって行き、里奈さんから俺を生徒会会長に推薦した理由を聞くと、俺の周りには優秀な人材が多くいるが、俺が関わらないと決して動いてくれないから無理やり生徒会に入れたそうだ。
それならわざわざ生徒会会長になる必要性はなかったのでは?と密かに思いながら大学を後にした。
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