第103話 破天荒な事件
家に入るなり悲惨な光景を目の当たりにした四人は、急いで玲狐達を起こしに行った。
玲狐のところには母が、燐のところには七海が、そして優と奏蘭のところには美玖と璃亜がそれぞれ向かって行った。
玲狐と燐は肩を揺するとすぐに起きてくれたのだが、問題が優だ。
優を起こそうにも奏蘭がガッツリと抱きかかえているため、引き剝がしも出来ない。
仕方がないので璃亜が強制的に奏蘭を叩き起こした。
「早く起きなさい、この酔っ払い!!」
「んん・・・なぁに?」
「お兄ちゃん大丈夫!?しっかりして!!」
「あれ、璃亜ちゃん達帰ってたの?」
「ついさっきね!それにしてもこの部屋、どういうことよ。説明しなさい!!」
「うーん、そう言われても私、記憶がなくて・・・」
「そ、それについては、私から説明します」
「燐ちゃん、大丈夫なの!?」
「このダメ姉だと説明できなさそうですし」
「まぁ、それはあるわね」
「ねぇ、私の評価そんなに低いの?」
「と、とりあえず一旦水を飲んで来てもいいですか?」
「うん、行っておいで」
燐が一旦水を飲みに行っている間に優も無事に目を覚ました。
優にも事情を聞こうとしたのだが、優にも記憶が無いらしく何も聞き出すことはできなかった。
燐が戻って来た時に奏蘭はリビングの真ん中で正座をさせられていた。
戻って来た四人に加えて玲狐まで奏蘭を囲んでいるとは、まぁそれだけの事をしたんだけど。
優はというとリビングのソファーに寝かせられていた。
燐は寝ている優の頭を優しく撫でた後、奏蘭達の元へ向かって行った。
「お待たせしました、それでは昨日あったこと全てお話ししますね。そうですね、事の発端は夕方ぐらいでしょうか・・・」
優の家の掃除を午前中に終わらせた燐は優が起きるまで暇を持て余していた。
優を起こさないよう最新の注意を払ってお菓子を食べていた時、優の母から着信が来ていた。
家の事や優のことを聞かれ、話し込んでいる間に優が起きていたのだ。
それを母に伝えると、電話を切り優の元へ向かった。
「おはようございます、優さん」
「あれ、母さん達は?」
「今日、旅行に行きましたよ」
「え、俺以外のみんなでか!?」
「はい、そうです」
「・・・そうか。それでお前はなんでここに?」
「今日一日優さんの世話を頼まれましたので」
「別に一人でも大丈夫なんだがなぁ・・・」
「あ、優くんやっと起きたんだー、お寝坊さんだね!」
「げ、玲狐。お前もいたのかよ・・・って、なんで玲狐もいるって教えてくれなかったんだよ」
「聞かれなかったので」
「こ、こいつ・・・」
「私抜きで会話しないでよ!!」
優さんが起きて来た後は買い物へ行って夕飯の食材を買っていたのです。
三人で協力して作ったお鍋はとても絶品でした。
その後は、交代でお風呂に入り寝る準備をしていたのですがそこで姉さんが来たのです。
どうやら今日私の母も出かけていたらしく、家にいなかった私を探しに来たとのことでした。
それは私も聞いてなかったので姉さんのために余り物で夕飯を作ってあげました。
その後食器を片付けている時、リビングからドタバタと物音が聞こえたのです。
早めに切り上げ、リビングへ向かうと目の前で玲狐が倒れていました。
そして目の前にはお酒を飲んで気分が良くなっている姉さんの姿が。
後はもう、いつも通りで優さんが姉さんに抱かれたまま気絶し、私は優さんを取り戻すことができず、そのまま朝を迎えました。
「まぁ、大体こんな感じです」
「つまり、またあんたがお酒飲んで好き放題やったわけね・・・」
「そ、そうみたいだね」
「・・・あんたしばらくの間、禁酒しなさい」
「えぇ!?それはやりすぎよ!!」
「もう何回目だと思ってるのよ!流石に自重しなさい!!」
「わ、私の夜の楽しみがぁぁ・・・」
お読みいただきありがとうございました。