第101話 破天荒な文化祭 最終日
楽しかった文化祭も遂に最終日を迎えた。流石にみんな少し疲れが見えてきているが、気を引き締めて乗り切らなければ。
と言っても、文化祭自体は午前で終わりなんだけどな。もう既に片付けの準備を始めているクラスもあったりする。
俺達生徒会はと言うと、昨日まで集計していたポイントを合計して各学年の順位をつけ始めていた。
順位が確定すると、事前に用意していた賞状にクラスを入れ、賞品のトロフィーを空き教室から持って来る。
それにしても、こうやって表に書くと結構クラスごとにポイントの差が出てるんだなぁ。
おっと、そんなこと気にしてる場合じゃなかった。トロフィーと賞状の準備を終えると、次はステージの準備に取り掛かる。
ここは体育館なのだが、文化祭の間は劇のために使われていて、今最後の演目が行われている。それが終わるまではステージの裏で待機になる。
やっぱり最後ってだけあって人もいっぱい集まってるなぁ。
数十分後、ついに劇が終演した。カーテンの裏から役者が小道具を持ってクラスへ戻っていく中、俺達は急いで台の準備を始めた。
劇の余韻に浸ってる人への配慮をしながら、なるべく気付かれないように準備をしていく。
その後、全員がクラスへ戻ったことを確認すると、燐が横にあるボタンを押した。
すると、カーテンが自動的に元の場所へ戻っていった。ボタンを押せば自動的に戻ってくれるなんて本当に便利だよな。
ステージの準備が整えば今度はアナウンスをかけにいく。今回は委員長がやるみたいだな。
『皆様、大変お疲れ様でした。これより、文化祭の閉会式を行います。生徒の皆さんは体育館へ集まってください』
アナウンスが流れてからしばらく経つと、人が少しずつ集まり始めてきた。委員長が戻って来た頃には、半数近くが集まっていた。
各々が指定の位置に立ち、生徒が全員揃うのを待っていた。・・・どうやら全員揃ったようだな。
俺は燐に始まりのサインを出した。
「皆様、大変お待たせいたしました。これより閉会式を始めます。まずは、今年の順位発表からです。一年生第一位は二組です。代表者は前へ」
「一位おめでとうございます。とても迫力のある素晴らしいお店でした」
「ありがとうございます」
代表者の一人が亜衣さんから賞状を受け取り、もう一人の方が俺からトロフィーを受け取る。その際にはみんなから盛大な拍手が送られた。
ちなみに二組は亜衣さんが絶叫していたお化け屋敷を作ったところだ。クオリティが群を抜いて高かったことが高評価のポイントだな。
亜衣さんの心境は複雑だろうな。
「続いて、二年生第一位は二組です。代表者は前へ」
「一位おめでとうございます。人気もさることながら対応も素晴らしかったです」
「ありがとうございます」
二組の代表者ってクレアと玲狐かよ、燐と役目変わればよかったかもしれん・・・
そんなことを思いながら俺は玲狐にトロフィーを渡した。
「最後に、三年生第一位は三組です。代表者は前へ」
「一位おめでとうございます。素晴らしい演劇で私感動しました」
「ありがとうございます」
三年生は何クラスかが劇をやっていたが、このクラスがずば抜けてクオリティが高かった。
一人一人の生き生きとした表情、そして演技。まさに完璧だった。俺も見ていて魅了されてしまったからな。
「以上で順位発表、並びに閉会式を終わります。皆さん本当にお疲れ様でした」
文化祭もついに終わりか。なんだかんだであっという間だったな。
もう少し続いてもよかったと思うが、まぁこれくらいがちょうどいいだろう。
でも、文化祭が終わるってことは生徒会が終わる日も近いってことだよな。
新しい生徒会長は誰になるんだろうな、個人的には燐が似合いそうだとは思うが。
メンバーもガラリと変わるだろうし、俺の出る幕はきっとないだろう。
そうなれば最後の学年は気楽に楽しめそうだな。
お読みいただきありがとうございました。