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第98話 破天荒な捜索

文化祭の日が近づいて来ると、日に日に学校全体が賑やかになって行った。

この時期からは午前中のみ授業で午後からは文化祭の準備に熱を注ぐ事ができる。

その分早く終われば早く帰ることもできる。まさに、一石二鳥の時期なのだ。

しかし、早く帰る人がいれば遅く帰る人も出てくる。

数人で学校に泊まり込み、準備を進めるクラスもあったという。もっとも、その場合は担任の許可を取る必要があるのだが。

この頃は俺達もやる事がたくさんあり、とにかく忙しかった。

各クラスから来るチラシ、他の委員会からの相談、通常の書類整理などなどとにかく色々とあった。

ここまでくると流石に俺達でもやり切れないものが出てくるので、その時は家に持ち帰って進めるか朝の間に終わらせるかの二択しかない。

はぁ、この時期ってこんなに忙しいんだな・・・やってもやっても次の日にはまた同じ量の書類が来るし、さすがに疲れてきたな。

他の奴らもちょっと疲れが見え始めて来てるし、そろそろ休みたいな。と思っていた時、生徒会室のドアが勢いよく開いた。


「あら、どうかしたの?」

「そ、その、クラスの劇で使うはずのティアラが無くなってしまって、みんなで探してるんですけど人手が足りなくて」

「それで手伝って欲しいのね?いいわよ。優さんと燐ちゃん、行って来てくれない?」

「え、俺と燐ですか!?」

「本当は燐ちゃんに行ってもらおうとしたんだけどちょっと後が怖くて・・・」

「え、何があったんですか・・・」

「それは知らなくてもいい事ですよ、優さん。それより早く行きましょう」

「あ、あぁ」

「もし見つかったら3-3まで来て下さい、お願いします」

「わかりました」


さて、失くしたものを見つけろって急に言われてもなぁ・・・

でも、燐って失くしたもの見つけるの得意そうだよな。意外とあっさり見つかりそうな気もするが。

とりあえず体育館に行くか。劇の練習をしているところといえばあそこしか無いからな。

と言っても、もう探してそうだけどな。・・・うん、無いな。

この奥の倉庫とかはどうだろうか、もしかしたらここに落ちてしまった可能性もあり得る。

うーん、ここにも無いか。となると、他には何処を探せばいいんだろう。


「なぁ、燐」

「なんですか?」

「何処にあるか分かったりしないか?」

「・・・それは無理がありますね」

「だよなぁ、流石にそこまではできないよな」

「お役に立てず申し訳ありません」

「いいんだよ、そんなに頭下げなくても。それより早く次行こうぜ」


次に向かったのは三年生が使えるホールだ。

ここなら置き忘れていてそのまま発見できなかった、という事があるかもしれない。

しかし、実際はそんな事はなく何処にもティアラは見当たらなかった。

どうやらここにもなさそうだな。しかし、一体何処にあるのだろうか。


「優さん、ここは一旦3-3に行きましょう。何か情報があるかもしれませんし」

「なるほどな、早速行ってみるか」


俺達はそのまま3-3へ向かって行った。

扉を開けると、さっき生徒会室に来ていた人がこちらへ駆け寄って来た。


「あの、見つかりました?」

「それが・・・」

「これですよね?」

「あ、それです!ありがとうございます!!」

「え・・・?」

「いえいえ、見つかってよかったですね」

「これで劇が成功できそうです!本当に助かりました!」

「それでは私達はこれで」

「・・・なぁ、いつ見つけてたんだ?」

「優さんが体育館の倉庫を漁っている間に」

「ほぼ初めから見つけてるじゃねぇか!あるなら言ってくれてもよかっただろ?」

「でも、無いとは一言も言ってませんよ?」

「・・・確かに言ってないけど」

「とりあえず早く戻りましょう、皆さんに仕事を押し付けたままですし」

「今度覚えてろよ、何かの形でリベンジしてやるから」

「ふふ、それは楽しみにしておきますね」

お読みいただきありがとうございました。

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