第97話 破天荒な計画
朝からとんだ災難に遭ってしまった。既にテンションが下がりつつあるのだが、ここで気を抜いてはならない。
今日は午後から生徒会の打ち合わせがある。その間、他の生徒達は各自自分のクラスの文化祭の準備に取り掛かる。
今回は前回みたいにゆっくりお茶を飲んでいる暇は無かった。
各クラスから受け取った模擬店や展示の計画書の確認、空き教室の在庫チェック、そして文化祭の見回りの順番を決めるなどとにかくやることが沢山あった。
早く終われば後半少しの間だけ休むことができるだろうが、それはほぼ叶わないだろう。
まず手分けして計画書の確認と材料調達に別れる。亜衣さんと燐が計画書の確認をしてもらって、俺と七海、そして委員長、もとい結衣には空き教室のチェックを任せられていた。
本来は俺も計画書のチェックに回る予定だったのだが、流石に荷物を女子に持たせるのは気が引ける。
書類もなかなかの量があるが、まぁ燐がいればなんとかなるだろう。
書類を二人に任せて、俺達は生徒会室の隣にある空き教室に入って行った。
そこには様々な行事で使った物や他にも色々な物が置かれている。
あたりを探していると、足元に何かが当たる感触がした。何かと思い、拾い上げてみるとそれは人体模型の生首だった。
「うわぁあああ!?」
俺は思わず生首を上に投げてしまった。そしてそれを委員長がキャッチした。
「・・・これ、人体模型のやつじゃない」
「そ、そうなのか?俺はてっきり」
「そんな訳ないじゃない、ここ学校よ?」
「そ、そうだよな!」
「それにしてもちょっと意外ね、こんなのが怖いだなんて」
「いや、なんもわからない状態でそれ見たら怖いだろ!」
「そうかしら?七海ちゃんはどう?」
「わ、私は特には・・・」
「らしいけど」
「う、嘘だろ・・・」
「あ、あの、大体は確認終わったので上の荷物を下ろしてくれませんか?」
「おう、わかった」
「ビビっちゃダメよ?」
「ビビってないって!」
ったく、人が少し失敗しただけであんなに突っかかってくるか?
七海を見習ってほしいな、ほんと。さて、ここって何が入ってるんだ?
えーと、垂れ幕とあとはメガホンか。・・・ん?うちの学校でメガホン使うことなんてあったか?
メガホンのことは後で聞くとして、とりあえずこの箱ごと持って行けばいいかな。
ん、結構重いな。あ、でもギリギリ何とかなるかも。ふぅ、本当にギリギリだったな。
よし、これであらかたチェックは終わったかな。それじゃ、生徒会室まで戻りますか。
生徒会室に戻ると、亜衣さんと燐がまだ書類と格闘していた。まぁ流石に俺ら程早く終わる仕事じゃないしな。
「燐、まだ終わってないのどれだ?手伝うぞ」
「ありがとうございます、優さん。えっとですね、あとこれくらいです」
「これくらいなら二人でやればすぐ終わるな」
「ねぇ、私のも手伝ってよね?」
「はいはい、ちゃんとそっちも手伝いますって」
「あ、あの私達も」
「手伝いますよ!」
「みんな・・・ありがとう!」
五人で進めると倍以上の速さで終わっていくな。これなら早い時間で捌ききれそうだな。
俺の予想通り、約10分程で残りの書類のチェックが全て終わった。
これであと残すは当日見回りする順番を決めるだけだな。
ただ、一つだけ問題があった。
「メンバーの数が五人だから、誰か一人ずっと回ってもらうことになるんだけど、やってくれる人いないかな?」
そう、元々3人ずつで行うはずだったのだが、今年は生徒会が五人しかいないため、誰か一人がずっと回り続けないと行けないのだ。
これだけは絶対に避けなくてはならない。が、亜衣さんは二日目に別のところでやることがあるため物理的に不可能なのだ。
そんなわけで、強制的に俺に決まっていた。まぁ、これは仕方ないよな。
俺は体力もあるし、その点は特に問題はない。問題はないんだが、今年は自由に回れなさそうだなぁ。
こんなことなら誰か一人知り合いを巻き込めば良かった・・・
お読みいただきありがとうございました。