第9話 実行委員会、再びの破天荒
今日の委員会は前回の場所ではなく図書室を使用することになった。
図書室は教室の向かいにあり距離としては前回より移動が楽だ。
ちなみに図書室が選ばれた理由としては前回の場所だと会長さんがすぐに転んでしまうから、だそうだ。
あの人はよく転ぶ。しかも何もないところで。
それを副会長さんがよくフォローしている。しかしあの教室は少し狭いためフォローしきれない時があったらしい。
そのため今回は広いところである図書室を選んだらしい。
玲狐と図書室に入るとすでにレン達や他の生徒達がすでに揃っていた。
「よう、遅かったなー」
「ちょっと競技決めに時間かかってな」
「あー、確かにあれは時間食うよな」
「ところで前に言ったあれちゃんと考えて来たか?」
「あぁ、もちろんだぜ。彩もそうだよな」
「う、うん」
「玲子も考えて来てるみたいだし問題はないな」
そんな話をしてる時に扉が開いた。出て来たのは会長ではなく副会長だった。
そのまま一番前の席に行き席に座った。前回見たときよりも明らかに不機嫌そうだ。
その後再び扉が開いた、それもゆっくりに。
そこにいたのは会長だった。申し訳なさそうに前の席へと向かう。
そして席に着こうとした時、副会長が立ち上がった。
「・・・会長、今日は何故遅れたのですか?」
「ホームルームが終わってそのまま帰ろうとしました・・・」
「今日実行委員会があったことを忘れてたんですか!?」
「はい・・・」
「全く、あきれたものですよ。」
「すみませんでした・・・」
「もういいですから、始めますよ」
「・・・はい」
「それではまず、前回決まったグループごとに席に集まってください。」
そう言われみんな席を移動し始めた。俺たちはレンのところが開いたのでそこに座ることにした。
「では、今日で大まかな内容は全て決めますのでみなさん、話し合って決めてください。」
「次の実行委員会でその内容についてみんなで話し合うからね。それで最終決定。」
「今回のはグループ内での仮決定ですので。終わったグループは私達に一言言ってから帰ってください。」
「それじゃあ始めー、あんまり遅くならないようにねー。全員終わらないと私達帰れないから」
「会長、そういうことを言うのはよしてください。それに早く終わったとしても会長にはやってもらわなければいけないことがたくさんあるので帰る時間は変わらないと思いますよ」
「えー!?そんなー」
「私も手伝ってあげますから」
「わーい、菜々ちゃんのそういうところ大好きだよ」
「いいから始めますよ」
こうして各グループ内での話し合いが始まった。
「じゃあまずはレンから」
「おう、俺は体育の授業でもやった開脚だな。一人でもできるが二人でやるといつもより深くいけそうだしな」
「なるほど、片方が開脚してる方の背中を押すんだな。確かにやったことあるな。」
「うん、でもあれやりすぎると痛いんだよねー」
「そこはやりすぎなければ大丈夫だろ」
「俺が言ったなら次は彩、お前だな。」
「う、うん。わ、私は二人で背中を合わせて片方が持ち上げる。というものがいいと思います。」
「でもそれ体格が違う人とやったら大変そうじゃない?」
「そこは体格がほぼ一緒の人とやればいいさ」
「彩、さすがだぜ!」
「あ、ありがとう。」
「さて順番的に次は俺か。」
「優くんはどんなの考えたの?」
「俺はお互いに手を繋ぎ引っ張り合う、そしてその体勢を保つってやつがいいと思うんだが」
「おおー、いいんじゃねぇか?」
「は、はい。いいと思います」
「玲狐はどう思う?」
「その前になんだけどさ、私が考えてたの優くんと同じだったんだけど・・・」
「はぁ!?じゃあもしかして、それ以外に考えて来てないのか?」
「・・・うん」
「はぁ、まぁ日にちもなかったし仕方ないか」
「本当にごめんね・・・」
「大丈夫だって」
「そうだぜ、気にすることないって」
「そ、そうですよ」
「三つも案があるんだなんとかなる」
「みんな、ありがとう」
「それじゃあこの三つをまとめて、そのほかにもいくつか取り入れよう」
そうして俺たちは何を取り入れるか話し合った。
まずは場所が図書室でもあるため各自で本を探し、そこから何を入れるかを考えた。
そしてその考えをまた話し合う。
なるべくスムーズにできるように、あまり負担のかからないようにと。
そして出た案三つを含め合計十個行うことにした。
これを持って来たノートに書き留め最終確認を終える。
そして帰りの支度を済ませ会長達のいるところへと向かう。
周りにはまだ数グループ残っていたが大半はすぐ終わり帰ったらしい。
「会長、準備運動グループ活動終了しました。」
「うん、じゃあ帰っていいよー」
「はい、お疲れ様でした」
「お疲れ様ー、気をつけてねー」
こうして無事話し合いを終えることができた。
次にあるのは最終確認だけだと思っていた。
その時、委員長がこちらに向かって来た。
「あなたに頼みたいことがあるんだけど」
「頼みたいこと?」
「優くん、あなたリレーに出てくれないかな?」
どうやら落着けるのはまだまだ先みたいだ。
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