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研ぎ師と魔剣の物語  作者: 稲村某(@inamurabow)
第一章ロイ篇・荒砥石で刃を付けよう
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「聖剣・王殺し」その2

深夜だからと油断大敵。即投稿。



 ヒンヤリとした地下室の宝物庫。


周りには様々な物品が置いてあるが、目の前の美女に比べれば全て見劣りしてしまう。




 長い髪を中程で束ね、意志の強さを示すかのように前髪は左右に分けて留めている。綺麗な黒髪である。


ビロードのような落ち着いた光沢の髪からは、長い間幽閉されていたにも関わらず、芳しい薫りが拡がり、一挙手一投足が色を成しているかのよう。



横に長く伸びた眉は薄く、大きい瞳を縁取る睫毛は静かに上下し、不安げな表情と共に彼女の心境を表している、のだが、



そんな表情関係ない!!美女万歳!!魔剣万歳!!


毎度ながら何でこうも魔剣は美女なんだ!?


まだ一度も男子に遭遇していない俺が強運だと言うだけか?



知り合いには女の魔剣研ぎ師も射るが、アイツが百合専とは聞いていない(話しもあまりしないが)し、男女で引き合う何かがあるんだろうか。



ま、それはまたいつか考えるか。



「あの……私はそちらに行った方がよろしいですか?」


あ、シュリごめん。それじゃ、さっそく……、


「いや、君はそのままで。こちらが出向くからご心配なく。」


手を引いてベット(砥石)へと導き、横抱きにしながら上に横たわらせる。



「結構ヒンヤリとしてますね……でも、心地よい冷たさです……。」


白襦袢一枚の彼女は、まるで病人のように真っ白な肌。


だが、それは病的な蒼白さではなく、雪のような透明感である。



……ほっそりしてます。でも、


起伏は控えめだが、腰の幅や減り張りのある下半身のラインは誠に美しい。


シュリは無意識に胸元を手で隠しながら、寝返りをうってうつ伏せになる。



正直言って、破壊力マシマシの艶かしさ……このお尻周りはイカン。実にけしからん。


魔剣達は大抵若い女性なのだが、たまに容姿の若々しさに似つかわしくない、成熟した女性そのものの特徴が垣間見れる時もある。



時には豊満な胸元や、シュリのような素晴らしいお尻周りのように……。


「……ッ!!そ、そうですよね……マッサージとかも、してくださるんですよね……?」


(はっきり言おう。研ぎにマッサージは関係ない!!これは只の嗜好である!)


「こうしてリラックスしてもらうと、研ぎに良い影響が出るのさ。判るだろ?」


「はい……ありがとうございます……ん♪」



下から上、上から横……張りがあり、適度に沈み込む素晴らしいそこを、ゆっくりと丹念に手を滑らせていく……。


✳✳✳✳✳✳✳✳✳✳✳✳




「ほほぅ、やはりそうして刃先を確認するのは肝心なんだな……まさに、職人の世界であるな。」


居合わせる大臣は、男が無心で刃先に指を滑らせていくのを見て、一瞬切れたりしないかとハラハラしたが、


男の指先は切れることもなく、峰や柄なども撫で続け、いつの間に手に取ったのか布切れで曇りを取るかのように磨いたりしていた。



「仕事前の磨きあげなのか……むむぅ、しかし、まだ研がないのだろうか?」


研ぎ師だと言う割りには、なかなか研ぎ始めない男に、ちょっとだけ不信感を抱いていた。



✳✳✳✳✳✳✳✳✳✳✳✳


「はぁ、はぁ、はぁ……ん♪」


シュリは、巧みな磨きあげにその刀身を輝かせていく。



「……こんなに綺麗になったの、いつ振りでしょう……気持ちがいいです。」


それに、男の熱のこもった手指から温もりが伝わる度に、彼女自身の刀身も熱さを増していくかのような気がしていた。



段々と上気していく感覚は、次第に彼女の刀身を敏感にしていき、フワフワとした心持ちへと誘う。





「そろそろ、……かな?」


男が言うのを聞き逃す訳もなく、シュリは正直に、ハッキリと口にする。





「……はい。こんな魔剣ですが、あなた様に身を委ねます。」



うつ伏せのままだった身体を起こし、ベット(砥石)の上に正座して、三つ指を着きながら、上品な貌でこちらを見つめつつ……、



「……どうかおきに召すまま、お研ぎになって……いただけますか……?」



上げ膳食わぬは研ぎ師の恥!!


「……あぁ、もちろんだとも。研がせてもらうよ。」

次はどうなる。

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